リノベーション・オブ・ザ・イヤーに見る「最前線」 グランプリのキーワードは「循環型リノベ」
●ディスカバリング・リノベーション賞
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既存を活かす循環型リノベ、次世代に繋ぐ持続性リノベ
今回のリノベーション・オブ・ザ・イヤーでは、持続可能な社会をという世界的な意識変革が年々進む中、「既存を活かす」「良きものを次世代に繋ぐ」というキーワードがさまざまな受賞作品で語られていたのが、深く印象に残りました。
資源の循環利用を重視して最小限の資源投入量で最大限の豊かさを得る「サーキュラー・エコノミー(循環型経済)」への取り組みも、リノベーション業界で具体化されつつあります。
昨年の記事「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2023」で、「シビアな時代にありながらも、リノベ業界は創意工夫や独自のコスト管理等で、建設費を抑えることがより必要となるでしょう。その工夫の一環として既存建築物や建材の再活用が上げられます」と記した記憶がありますが、今年の作品ではそうしたコスト管理が当たり前のこととして対策されていました。
建材費や人件費の高騰というどうにもならない荒波を受け、循環型リノベが推し進められていく状況を見て、まさに今が時代の転換点であると感じます。
ただし、リノベ業界では、「安いから」「もったいないから」だけで建材の再活用を進めているわけではなく、既存建物や建材へのリスペクトあっての再利用という点も感じ取ることができました。
プレイヤーズチョイス・アワードを受賞した斉藤工匠店さんが語った言葉「私は地方で小さな工務店をやっておりますが、最初から最後まで丁寧に物事にあたるのをモットーとしています。ストック活用においても丁寧に進めていくことに尽力したい」という熱い思いをうかがい、「やはりリノベは人が生み出すものなのだな」という温かい思いが心に残りました。
リノベ作品は、暮らす人が心地よく幸せに過ごせるよう、さまざまな手法やアイデアが盛り込まれた究極の一点もの。2025年にはどんな新たなタイプの作品が登場するのか、今から楽しみです。
文/金井直子
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