リースの新会計基準は、企業に重大な影響を与える。そのため対策は急務だ。
「うちは賃借物件の店舗が多いため影響が大きい。強制適用まで残すところ2年余りしかないが、本当に間に合うのか心配でならない」
大手流通企業で総務や経理を管掌する副社長は、不安そうな表情を浮かべながら語る。
副社長が心配するのは、企業会計基準委員会(ASBJ)が2024年9月に公表した新しいリース会計基準(以下、新基準)のこと。これまでの会計基準とはリースの扱いが大きく変わり、企業の財務情報に多大な影響を及ぼすからだ。
途方もない作業で気が遠くなる
詳しくは後述するが、リース契約の中でこれまで貸借対照表(バランスシート・BS)への計上(オンバランス)が義務づけられていたのは、中途解約できず購入に近い「ファイナンスリース」だけ。それ以外の「オペレーティングリース」については計上しなくてよい、つまりオフバランスが認められていた。
今後はこうしたリースの区分が廃止され、一部を除きすべてのリースをオンバランスしなければならなくなった。契約内容にもよるが、オフィスビルや店舗、駐車場といった賃借不動産をはじめ、工場の工作機械、業務委託先のトラックや倉庫といったものまで、さまざまなものが該当する。
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