リノベーション・オブ・ザ・イヤーに見る「最前線」 グランプリのキーワードは「循環型リノベ」

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長男の成長やリモートワークがメインになった夫婦の働き方の変化もあり、広い家への住み替えを検討したそうですが、気に入った立地や家への愛着からこのまま住み続けることに。ライフスタイルや家族の成長に合わせて家をアップデートするという発想に、住まい方の新たな可能性を感じました。

【注目point4】無個性だったものを唯一無二の存在に

画一的であったり無個性であったり、世の中から見捨てられがちな物件に新たな価値あるものに生まれ変わらせるのも、リノベーションの醍醐味です。

今回、注目されたのは、絶景を望む立地のポテンシャルを活かせていない古い保養施設やSF作品をモチーフにデザインされた賃貸物件など。こうした唯一無二の空間づくりを見ると、リノベーションは自由な発想であらゆる可能性を追求できる手段なのだと強く感じます。

●無差別級部門最優秀賞

【soil and soul(Jam+tamtam)】 Japan. Asset management株式会社

自然と調和した佇まい。中央に開いた軒下空間の抜け感が素晴らしい
自然と調和した佇まい。中央に開いた軒下空間の抜け感が素晴らしい(写真提供/Japan. Asset management株式会社)
母屋でサウナに入った後は「ととのいデッキ」で玄界灘を望む
母屋でサウナに入った後は「ととのいデッキ」で玄界灘を望む(写真提供/Japan. Asset management株式会社)

【soil and soul(Jam+tamtam)】は、斜面地に立つ特徴のないデザインの建物を改変した作品です。

福岡県糸島市の海を見晴らす絶好のロケーションにある、とある財団のコミュニケーションスペース。

玄界灘の絶景を望める立地にありながら、そのポテンシャルが活かせていない中庭や離れにも海の眺望をもたらすよう、母屋の一部を解体して軒下空間という抜けを設け、2棟をウッドデッキで連結。オープンスペース全体から海を望める解放デザインに。糸島の自然に溶け込む容貌に生まれ変わりました。

離れには日本最高基準の断熱が施され、外壁などには無塗装の九州産杉を用いてアッシュカラーへの経年変化を楽しめる自然と共生する建物として設計。過去に建物を建てるため植物を伐採したことで土壌が乾燥し、それが原因で基礎が断裂していた土中環境問題も、地中に突き立てた焼き杭から雨水が地に還元されるようにし、土中環境改善と森林の再生までを配慮。

そうしたプラン、デザイン、自然共生、省エネ性能を含めた総合力が高く評価されました。

●ミニマリズム・リノベーション賞

【時代を超えた賃貸『2001年宇宙の旅』】 イー・ワークス株式会社

空間の真ん中に宇宙船のコクピットを思わせるアールの仕切りが
空間の真ん中に宇宙船のコクピットを思わせるアールの仕切りが(写真提供/イー・ワークス株式会社)
仕切りの中はキッチン、洗面、シャワー室がぐるりと配置されています
仕切りの中はキッチン、洗面、シャワー室がぐるりと配置されています(写真提供/イー・ワークス株式会社)

【時代を超えた賃貸『2001年宇宙の旅』】は、築31年の賃貸マンションを斬新なデザイン空間に変えた作品。

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