睡眠研究でみる「眠りの質」良い人・悪い人の特徴 「よく寝た」と思っても熟睡できていないことも

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睡眠薬には3つのタイプがある。

1つめは、脳内物質であるGABA(ガンマアミノ酪酸)の働きを強める薬。「ベンゾジアゼピン受容体作動薬」と呼ばれる。

高い効果がある反面、依存性や効果が薄くなると服薬量が増えるといった耐性があるほか、反跳性(はんちょうせい)不眠といって、急に服用を中止すると服用前より強い不眠が表れるようになる。

2つめは「メラトニン受容体アゴニスト」という薬で、脳で作られる昼夜のリズム(体内時計)を調節するホルモン、メラトニンを模倣する。飲み続けることで不眠を解消する。

3つめが、オレキシンの働きを阻害する「オレキシン受容体拮抗薬」。依存性や耐性、反跳性不眠はなく、眠れないときに頓服的に飲める。夢見が多くなると訴える人が多いが、これはレム睡眠が増えるためだ。

睡眠の質は減点法で考える

柳沢氏は、睡眠の質に関しては、“こうすればよく眠れます”という加点法ではなく、“これをすれば眠りが悪くなる”ことをやめる減点法で考えたほうがいいと話す。

以下が快眠に向けた正しい理解と、減点法につながる行動だ。

①眠くもないのに床に入るのをやめる

金科玉条のように自分は何時間寝なくてはいけないと決めつけ、床に入る人がいる。それで眠れればいいが、まんじりともせず、うつうつとして眼だけを閉じることを繰り返すと、さらに眠れなくなる。

これは心理学的な条件づけで、寝床や寝室が眠れない場所だということを体が覚えてしまうからだ。床に入るのは眠くなってからにし、それまでは自分にとってリラックスできて眠くなるようなルーティン、いわゆる“睡眠儀式”をするといい。

②室内の照明を明るくするのをやめる

午後8~9時以降は、リビングやダイニングの明かりを落とす。夜の強い光には、メラトニンを抑制する作用がある。何より光には覚醒作用がある。

照明の明るさは100ルクス未満がおすすめ。100ルクスとは暗い夜道の街灯の真下の手元くらいの明るさ。少しうす暗い感じだが、目が慣れれば本も読めて食事をするにも十分である。 

③携帯・スマホは禁止しなくてもOK

スマホを全面禁止する必要はない。ただ、ゲームやチャット、ショート動画など、操作を要求されるものはダメで、これを見ると自分は眠くなるとわかっている、一方通行のコンテンツを見る。

ちなみに柳沢氏は、「つまらない(笑)論文を、PDFにダウンロードして読むこと」で眠りを誘うという。「だいたい、最初のパラグラフで寝てしまう。難しい授業を聞いていると眠くなるのと同じですね」。

君塚 靖 えむでぶ倶楽部ニュース編集部 記者

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きみづか やすし / Yasushi Kimiduka

証券・金融畑の記者を経験した後、医療系記者に転身。2018年1月にメディカル・データ・ビジョンに入社。同社情報誌「えむでぶ倶楽部ニュース」編集部で医療・健康情報のデジタル化と位置付けられる、人が一生涯の健康・医療情報を自ら管理できるPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)についてや、コロナ禍で非接触型医療の新たな形として注目されるオンライン診療などについて執筆している。同社の医療情報サイト「めでぃログ」ポータル(https://portal.medilog.jp/)向けにも記事を執筆している。

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