バカリズム「ホットスポット」早くも"怪作の予感" 前作「ブラッシュアップライフ」との共通点も

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

そして、前作『ブラッシュアップライフ』を思わせるドキっとさせられるシーンから物語は本筋に入る。事故に遭いそうになった清美は、職場の先輩・高橋(角田晃広)に助けられ、彼が特殊な能力を持つ宇宙人であることを知ってしまう。

バカリズム ホットスポット
『ホットスポット』(写真:番組公式サイトより引用)

高橋は自身が宇宙人であることを清美に秘密にするよう伝えたものの、清美は地元の幼なじみの葉月(鈴木杏)と美波(平岩紙)との食事の席であっさり話してしまう。そこが起点になり、第1話のメインパートになる4人の会話劇コントに進んでいく。

『ブラッシュアップライフ』との共通点

第1話の後半では、清美は高橋の能力を使ってホテルで起きた盗難事件を解決する。この後半では、会話劇の雰囲気とは一変する空気感に包まれる。ラスト5分は悲哀のヒューマンドラマになるか……と思いきや、シュールな逆転劇の爽快感で締めくくった。

全編を通して、会話劇のコントをストーリーでつないでいく構成だが、ラスト5分で人間性の表裏や人生の悲哀を押し込む珠玉のヒューマンドラマになっていた。

そんな本作は、舞台となる地方ののどかな街の設定や、登場人物たちそれぞれの仕事を通した職業あるあるネタをちりばめるストーリー進行、宇宙人との邂逅シーンの演出など、『ブラッシュアップライフ』との共通点が随所に見られた。

それはバカリズムドラマの王道になっていくのかもしれない。彼の持ち味がもっとも発揮される設定であり、演出なのだろう。本作を見ながら、バカリズムならではの会話劇コントで笑い、前作と共通する空気を楽しめた。

一方、昨今ではコメディチックな会話劇の応酬で笑いを入れたり、コントのようなシーンを連発するドラマは少なくない。

それらとバカリズム脚本のドラマが一線を画しているのは、その会話劇の研ぎ澄まされたナイフのような切れ味だろう。どこにでもいそうなふつうの人たちの普遍的な会話のなかに、市井の人々の心に刺さる、さりげないボケとツッコミの鋭さがある。

そんな会話劇がこれでもかとふんだんに盛り込まれて圧倒されつつ、気づけばストーリーに引き込まれている。

バカリズム ホットスポット
『ホットスポット』(写真:番組公式サイトより引用)
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事