「歯石取りは痛い」と疑わない人が知らない真実 最後に「すっぱいもの」を食べる人は要注意
酸蝕症から歯を守るには、飲み方を工夫するのも一つの方法です。ストローを使い、できるだけ歯に触れないようにすることで、リスクを減らせます。
また、お酒のpHは、種類によってかなり異なります。ワイン、日本酒やビールなどの醸造酒は、総じて酸性です。とくにワインのpHは低く、日本酒やビールがpH4程度なのに対し、ワインはpH3程度です。
逆に焼酎やジンなどの蒸留酒はpHが高く、なかでもジンは、商品にもよりますがpH8ぐらいのものもあります。理論上は、食事の最後にジンを飲めば口の中はアルカリ性になり、歯が溶ける心配はないことになります。
痛いと感じる歯石取りは歯の寿命を縮めている
歯科医院で行う口腔ケアの一つに、歯石取りがあります。歯石とは、プラーク(歯垢)が石灰化して硬くなったものです。いわばバイキンの「死骸」なので、じつは歯石自体に害はありませんが、歯石の表面にはプラークが付きやすく、放っておくと、歯周病の原因になります。歯石は歯ブラシで取ることはできず、歯科医院で取り除いてもらうことになります。
この歯石取りについて、「痛くて当たり前」と思っている人が少なくありません。私も患者さんから「歯石取りで、歯をガリガリ削られて痛かった」という話をよく聞きます。
でも、これは誤解で、歯石取りが痛いか痛くないかは、手段の違いによるものです。
日本における歯石取りの主流は、「SRP(スケーリング・ルートプレーニング)」と呼ばれるものです。「スケーリング」は、スケーラーと呼ばれる器具を使って歯石をガリガリと除去すること。ルートは「歯根」、プレーニングは「滑らかにする」の意味です。つまり、ルートプレーニングは、歯根の表面の汚染されたセメント質を取り除くことです。
歯のセメント質を削るのは、セメント質についたプラークがバイキンで汚染されているという考えからくるものですが、この考えはすでに否定されています。1980年代には、歯のセメント質を削る必要はないことが明らかになっています。
にもかかわらず日本では、いまだルートプレーニンクが一般的で、歯のセメント質を削っているのです。「削る」のですから当然、痛みを伴います。なかには患者さんの負担を減らすため、麻酔を施す歯医者もいるほどです。
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