「歯石取りは痛い」と疑わない人が知らない真実 最後に「すっぱいもの」を食べる人は要注意
すっぱい食べ物の代表格にレモンがありますが、レモンのpHは2.3です。胃酸は、それより強いpH1.0〜1.5です。胃酸が強い酸性だから起こる現象で、同じことが食べ物や飲み物で起こることもあるのです。
私の患者さんにも「健康にいいから」とお酢を飲み続け、形が変わるほど歯が溶けてしまった人がいました。セラミックをかぶせる治療をしましたが、酢にはそれぐらい歯を溶かす力があるのです。
酸蝕症から歯を守る方法
強い酸性の食べ物や飲み物は、意外にたくさんあります。ドレッシング、果物、柑橘系のジュースや飴などです。これらを摂るとき、とくに注意したいのが最後に何で終えるかです。
最後に食べたり飲んだりしたものが酸性だと、口の中はしばらく酸性が続きます。歯が溶けやすい状態で、そのまま歯磨きすると歯ブラシによる摩擦で歯を傷つけやすくなります。
これを防ぐには、食事の順番を工夫することです。私がイエテボリ大学歯学部の短期研修を受けたとき、予防歯科の第一人者ピーター・リングストロム教授が朝食を食べる順番を次のように解説しました。
「コーンフレークとミルク」「オレンジジュース」「パン、チーズ、紅茶」を食べるときです。
① 「コーンフレークとミルク」「オレンジジュース」「パン、チーズ、紅茶」
② 「コーンフレークとミルク」「パン、チーズ、紅茶」「オレンジジュース」
①の順番で食べたときは、食後すぐの歯磨きは「問題なし」とのことでした。一方、②の順番で食べたときは、食後すぐの歯磨きは「問題あり」とのことでした。オレンジジュースは酸性なので、口の中はしばらく酸性になっているからです。
①もオレンジジュースを飲んでいますが、その後に紅茶を飲んでいます。紅茶のpH値は5.7〜6程度で、最後が歯が溶ける臨界pH(pH5.5)より高い状態になるから「問題なし」となるわけです。
食後すぐに歯を磨きたいなら、食事の最後は紅茶やコーヒー、麦茶、緑茶など中性かアルカリ性の飲み物で終えるのがベターです。あるいはガムを噛んで、唾液の分泌を促進する方法もあります。唾液の作用で、口の中が早く中性になります。
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