「警視庁公安部」が"新設部署"に込めた深い意図 世界を震撼させる「ローンオフェンダー」に関係?

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とはいえ、現在のインターネットの海には、恐ろしいほど大量の「警告行動」であふれている。情報を効率的に選別するためには、AI技術を使用してテキスト分析を行い、警告行動を高い確度で選び出していくことが必要不可欠である。

アメリカなどテロの脅威が相対的に高い国では、こうした分析に巨大な予算が割り当てられつつあるが、日本でも、過去の安倍元首相の殺害事件や、岸田文雄前首相への襲撃事件を考えれば、かなりの危機感を持って対処することが望まれる。

2025年4月、警視庁公安部では、比較的大きな組織改編が予定されている。国内公安部門に、新たに「ローンオフェンダー」を担当する部署(公安3課)が創設される。これを機に、国家レベルで産学連携を推し進め、「警告行動」の分析に乗り出すべきだろう。

身近に潜む「テロリスト」

また、個人のレベルでも、こうした異常を察知した場合、「#9110」(急がない110番)や管轄警察署の代表番号に相談するなど、積極的な対応に乗り出していただきたい。

「警告行動」は、「思想的、政治的、社会的、または宗教的な目的」のほうが発露しやすいが、それ以外の類似した犯罪でも見られる現象だ。

2024年12月14日に、福岡県北九州市のファストフード店で中学生の男女2人が突然、男に刃物のようなもので刺され、女子生徒が死亡し、男子生徒が重傷を負った事件。逮捕された現場近くに住む43歳の男は、近所でも“異常行動”が問題になっていたと報道された。

この犯人も、LO型テロリストだった可能性は否定できない。「テロリスト」というと大層な思想を持った人物による犯行だと考えられがちだが、そうではなく、ごく身近にも危険は転がっている。

私たちは日常生活での異常を“他人事”とやり過ごさず、警察に「相談する勇気」を持つ時期にある。身の回りの脅威と警告行動を警察に集約することが、こうした悲劇をなくしていくことにつながるからだ。

松丸 俊彦 セキュリティコンサルタント

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まつまる としひこ / Toshihiko Matsumaru

警視庁に23年在籍。2002年日韓共催W杯サッカー大会においてロンドン警視庁の特別捜査官と共にフーリガン対策に従事。在南アフリカ日本大使館に領事として3年間勤務。南アフリカ全9州の警察本部長と個別に面会して日本大使館と現地警察との連絡体制を確立し、2010年南アフリカW杯サッカー大会における邦人援護計画を作成。警視庁復帰後、主に防諜対策(カウンターインテリジェンス)及び在京大使館のセキュリティアドバイザーを担当。全155大使館を延べ1,200回以上訪問し、大使館及び大使公邸に対するセキュリティアセスメント(警備診断)、特命全権大使を始めとする外交官に対するセキュリティブリーフィングを実施した。

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