「日本との関係も…」USスチール買収阻止の代償 政治的判断を下したバイデン政権に厳しい声

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財務省や司法省などで構成される対米外国投資委員会(CFIUS)は2024年12月、両社に書簡を送り、この取引に難色を示した。CFIUSは、この取引がアメリカの鉄鋼生産の減少につながる可能性があり、アメリカにとって国家安全保障上の脅威となりうるとの懸念を表明した。CFIUS関係者は、日本が将来的に他の海外事業を考慮する中で、USスチールが見直させる可能性があるとの見方を示した。

正式な勧告がなかったことで、バイデンは、予期せぬ心変わりがなければ、選挙期間中の政治に巻き込まれた取引を終わらせる道を開いた。

「行政府全体の国家安全保障と貿易の専門家からなる委員会が決定したように、この買収はアメリカ最大の鉄鋼メーカーの1つを外国の支配下に置くことになり、我々の国家安全保障と重要なサプライチェーンにリスクをもたらす」とバイデンは述べ、委員会が強調した懸念を指摘した。

法廷に持ち込まれる可能性も

この決定は法廷で争われる可能性がある。日本側は、取引が阻止された場合、法的措置を取る用意があることを示唆している。

日鉄は先月、CFIUSに書簡を送り、アメリカ政府がこのプロセスにおいて「許されない影響力」を持っていると非難した。同社は、CFIUSが提起した懸念は「事実誤認や逸脱、誤解を招く不完全な記述、事実に基づかない憶測や仮説が散見され、明らかに非論理的である」と述べている。

1月3日に発表された声明の中で日鉄はバイデンの決定を非難し、「我々の法的権利を守るためにあらゆる適切な行動をとる以外に選択肢はない 」としている。

USスチールのデイビット・バリットCEOは、さらに厳しい声明を発表し、バイデンの行動を「恥ずべき腐敗したもの」と呼び、同社はこれに対抗するつもりだと述べた。

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