「日本との関係も…」USスチール買収阻止の代償 政治的判断を下したバイデン政権に厳しい声

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バリットCEOは声明で、「バイデンは、わが社の将来、労働者、そして国家安全保障に害を及ぼしながら、組合員とは無縁の労働組合のボスに政治的見返りを与えた」と述べ、こう加えた。「経済的、国家安全保障的に重要な同盟国である日本を侮辱し、アメリカの競争力を危険にさらした。北京の中国共産党幹部は街頭で踊っている」。

ハーバード大学ケネディスクールのジェイソン・ファーマン経済学教授も大統領の決定を批判する。

「バイデン大統領は、日本がアメリカの鉄鋼会社に投資することは国家安全保障に対する脅威であると主張しているが、それはアメリカの繁栄と安全を低下させる特別な利害関係者への哀れで卑劣な屈服である」とファーマン教授は語る。「法律を乱用しながら同盟国を裏切る彼を見るのは残念だ」。

バイデンが政治的判断を下したのは明らか

バイデンの政治的判断は明らかだった。USスチールは大統領選における重要な「スイング・ステート」であるペンシルベニア州に拠点を置いており、その強力な労働組合は、日本が工場への投資や労働者の年金保全の約束を守らないのではないかという懸念から提案された買収に激しく反対していた。

買収をめぐる公開討論は、2024年の大統領選挙を前に重要な争点として浮上し、バイデン、カマラ・ハリス副大統領、ドナルド・トランプ次期大統領はいずれも、USスチールはアメリカ資本のままであるべきだと公言した。

組合は3日、バイデンの動きを称賛した。

「強力な国内鉄鋼業を維持するために大胆な行動を取ろうとするバイデン大統領の意欲と、アメリカ人労働者に対する彼の生涯にわたるコミットメントに感謝している」と、国際鉄鋼労組のデイビッド・マッコール会長は述べた。

選挙前、バイデン政権はこの取引に関する懸念に対処するため、各社にさらに3カ月間の猶予を与えた。しかし12月までに、CFIUSが日本に対し、連邦政府機関が取引を進めるべきかどうかで意見が分かれていると伝えたこと、そしてトランプ大統領が就任と同時に取引を阻止すると宣言したことから、取引が破談になる可能性が高いことは明らかだった。

「大統領として、私はこの取引の実現を阻止する」とトランプはSNSで述べた。「買い手は用心せよ!!!」

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