セブン苦戦でも大ヒット「さばの塩焼」がすごい 総菜売り場を支える中堅メーカーの秘密とは?

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最大の強みは、原料の仕入れから包装までを自社で完結する「一貫製造体制」であること。一貫製造によるメリットは原材料費の低減など多数挙げられるが、とくに注目したいのが冷凍回数を減らせる点だ。

魚介類は冷凍すると、うまみ成分のアミノ酸が壊れ、解凍時に水分とともに流れ出てしまう。下処理、調理、輸送などの段階ごとに冷凍、解凍を繰り返せば、その分、味わいの劣化は避けられない。

加工からパックまで、すべての工程を工場で行っている(撮影:大澤誠)

しかし、STIの主要商品の冷凍回数は1回のみ。アメリカやチリの子会社が買い付け、頭や骨を除いた後、日本へ輸送するときだけ冷凍する。

国内の各工場でも食材のカットから味付け、火入れまで、残りの調理の全工程が行われる。製造を自社で完結できるため、余計な冷凍、解凍の工程がなく、品質を維持できるのだ。

セブン商品本部のデリカテッセン(総菜)部でセブンプレミアムの開発を担当する野口裕介氏は「原材料の調達から加工、調理まですべて自前でできる会社はSTIくらいしかいない」と話す。

大手コンビニでも、さばの塩焼に「違い」

実は、冷凍回数が少ない点は、消費者にもわかるようになっている。

類似品を手に取ると、パッケージに「保存方法の変更者」や「保存温度帯変更者」と記載されたシールが貼られている。これはメーカーが製造後に一度商品を冷凍し、その後、卸売業者などが冷蔵温度帯に温度変更、解凍したことを知らせる表示だ。

他社のさばの塩焼。「保存温度の変更者」が示されている(記者撮影)

STIの商品は製造後に冷凍していないため、このシールが貼られていない。大手コンビニのさばの塩焼の中でも、シールがないのはセブンだけだ。

セブンの野口氏は「メーカーにとっては大量生産し、冷凍してストックしたほうが手間が省ける。しかし、STIは味を優先して、手間をかけてでも発注が来た分を毎日製造し、冷凍せずに供給してくれている」と語る。

こうした都度生産も、調理の全工程を1工場で完結しているからこそできる業といえる。

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