ソニーFGが買収、「新興保険企業」の不都合な事実 遠藤社長がブレーン役だったjustInCaseの統治不全
当初20万円としている月の支払い額はジャスト社と兄弟会社の資金調達額に応じて金額が変動する。10億円以上の調達ができれば月30万円、15億円以上だったら月40万円などと定められており、合計1200万円が支払われることになっている。
畑氏は、ジャスト社の共同創業者でもある配偶者との間に離婚訴訟を抱えていた。その配偶者から畑氏との不貞関係を指摘されたのがAさんだ。慰謝料も請求されており、体調を崩していた。
一連の問題解決のため、Aさんは畑氏に解決金を請求したが、畑氏が保有していた現金などは配偶者との訴訟で差し押さえられていた。そこで、ジャスト社などが「営業外費用」としてAさんに解決金を支払うことになった。
解決金は2022年10月以降、少なくとも2回支払われていた。記者が入手した別の資料で確認できた。
経営者個人の支出を会社が建て替えるようなケースは、本来であれば「会社と社長が金銭貸借契約を結び、きちんと担保を取って、市中銀行並みの利息を支払わせるべき」(八田氏)ことだ。
ソニーFGに認識を尋ねた
くしくも、畑氏やジャスト社がこうしたトラブルに直面していた2022年頃は、遠藤氏がアドバイザリーボードを務めていた期間だ(遠藤氏は2023年5月に同職を退任)。経営陣にアドバイスする立場にありながら、こうしたコンプライアンス不全の状況に気づかなかったのだろうか。
また、今回の買収に際して行ったはずのデューデリジェンスでは、こうしたずさんな経営実態についての情報収集を行わなかったのだろうか。
ソニーFGの経営幹部には、ソニーグループ本体からの出向者も多く名を連ねる。ジャスト社が抱えるコンプライアンス上の問題に目をつむったまま買収に踏み切ったのだとすれば、ソニーFGの取締役会全体の能力が疑われる事態だ。
ジャスト社の買収をめぐるさまざまな疑問。それらをソニーFGとジャスト社の双方に問い合わせた。
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