保護者:うちの子は毎日、ゲームばかりして、全然、勉強していないんです
私:そうですか。具体的にはどれぐらいゲームをしているのでしょうか
保護者:平日は、2~3時間はしていると思います。夜もたぶんしているのではないでしょうか
私:そういうときどのように子どもに話されるのでしょう?
保護者:ゲームをやめて宿題をやりなさい!と言っていますが、一向にやりません
私:そうですね。そのように言われて、「はい。わかりました。ゲームをやめて今から勉強します!」という子はいませんから、効果はないですよね。それよりも効果的な方法があります
保護者:どういう方法でしょうか?
私:まずはゲームをすることが悪いのではなく、けじめがないことが悪いと言い聞かせてみてください。そして、1日1時間とか30分とか、ゲームをする時間を決めるのです。もし決めた時間を守れなければ、ゲームのコードをはさみで切ってください(コードがなければ、ゲーム機を破棄する)。約束が守れない人には自由はないということを、本気で伝え、決めたとおりに実行することなのです
保護者:え! 廃棄するなんて、もったいなくありませんか
私:もったいないというのであれば、今のまま継続する以外ないでしょう。あとは、親が本気になるかどうかです
実はこの話には、後日談があります。
コードを切るというのは、極端な話かもしれません。もっと軽くしてゲームを取り上げるというレベルでもいいのですが、けじめをつけることの究極の意味でお話したところ、このお母さんは見事にコードを切り、ゲームを廃棄したのです。
親は「本気」を見せたほうがいい
けじめの話を聞かされた子どもは、初め、いつものただのお小言だと思い、「いくら何でもコードを切ることはしないだろう」と高をくくっていたため、約束した時間を守らなかったのです。そこでお母さんは本当にコードを切ってしまいました。そのお母さんの行動に、子どもはとても驚きましたが、お母さんが本気で言っているということが伝わり、それからはしっかりとけじめをつけるようになったのです。
コードを切るのは大胆な行動ですが、要するに勉強をしない人にゲームをやる資格がないということを、しっかりと行動で示すことが大切なのです。親御さんは、肝心な部分で子どもに負けてしまい、許してしまいがちです。ですが、1度決めた約束は必ず守るということを徹底させ、けじめをつけてみてください。
このようなけじめをつけることで、子どもは「約束は守らなければならないんだ」という意識が強くなり、勉強をするという約束も守るようになっていくのです。さらにいったん決めたことは必ず守り抜くという姿勢を親が示し、それを子どもに教えていくことは勉強のみならず、今後、子どもが人生を豊かに歩むための財産を与えたことにもなるでしょう。
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いしだ かつのり / Katsunori Ishida
1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。
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