「さい銭箱にスマホ決済」で参拝風景が変わる将来 金融庁が「電子マネーの利用解禁」に向け準備中

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金融庁の決済WGが示した取りまとめの骨子によれば、電子マネーでの寄付金受領者は国・地方公共団体のほか、学校法人や宗教法人などの認可法人などに限定される。

1回当たりの寄付金上限額は1万~2万円程度で検討を進めることにする。コンビニなどで購入できる「○○ギフト」といった「番号通知型前払い式支払い手段」は除外される見通しだ。

今回の規制緩和に当たっては留意すべき課題も少なくない。その1つが電子マネーでの寄付を募る詐欺への対策だ。

寄付金詐欺で悪用の恐れ

懸念される詐欺事例は、電子マネーで簡単に寄付を集められることに目をつける詐欺集団が、休眠状態の宗教法人などを買収し、SNSなどで多額の寄付を集めるような手口だ。上限額を1万~2万円と小口に設定しても、1人が何度も送金すれば大きな被害額になってしまう。

決済ビジネスに詳しい永井法律事務所の永井利幸弁護士は、「特定の団体を装って街中で通行人に現金での支援を呼びかける募金詐欺が横行しているが、対策が不十分だとそのオンライン版ができかねない」と指摘する。

その対応策として、「寄付での電子マネー利用には決済事業者との加盟店契約が必要になるので、その際に決済事業者が募金活動などの実態調査を適切に行うことが望ましい」とも話す。

実際の活用シーンを想定すると、ほかにも乗り越えるべき課題は多い。地方では多くの神社が日頃は無人の状態。そうした神社ほど、さい銭での電子マネー利用が重宝される。だが、人目がないため、さい銭箱に設置するQRコードをすり替えられるといった不安がつきまとう。

逆に、多くの参拝者が集まる正月の三が日などでは、さい銭奉納に電子マネーを使うことで長蛇の列ができてしまいかねない。電子マネーのさい銭や寄付利用の解禁は、新しい時代の姿の模索になりそうだ。

北山 桂 東洋経済 記者

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きたやま かつら / Katsura Kitayama

1975年群馬県生まれ。日本農業新聞や博報堂アイ・スタジオ(コピーライター)、「週刊金融財政事情」編集長などを経て、2024年4月東洋経済新報社入社。

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