「風邪に対する特効薬」が発明されない納得理由 症状は抑えられてもウイルス退治はできない

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また風邪に対して、抗生物質を処方する医師もいますが、前述したとおり、風邪の8〜9割はウイルスによる感染です。抗生物質は、細胞を持つ細菌には効きますが、それよりも数百分の1程度しかない小さい微生物であるウイルスには効きません。だから、風邪に対する特効薬は存在せず、そのことを知っている薬剤師は医療機関に行かないという選択をする人も少なくないのです。

風邪の症状に対応する薬は存在する

ちなみに、解熱剤や咳止め薬など風邪の症状に対応する薬はあります。薬では症状を抑えることしかできませんが、症状を抑えることが、逆効果を生むこともあります。風邪の症状の感染の状況をちょっと見てみましょう。

(画像:『その一錠があなたの寿命を縮める 薬の裏側』より)

まず、風邪のような症状を持つ人のくしゃみなどで、飛び散ったウイルスや細菌などが、粘膜の中で悪さをして、発熱、鼻水・鼻詰まり・くしゃみ、喉の痛み、身体中のダルさ、頭痛症状などを引き起こします。

なお、一般的な風邪症状は、鼻水・鼻詰まりが95%、咳が80%、喉の痛みが70%程度で起こります。しかし、鼻の症状がなく、「咳だけ」「喉の痛みだけ」が突出して強い場合は、風邪ではなく、緊急性が高い病気、例えば、肺炎など細菌性感染症である可能性があるため、すぐに医療機関を受診する必要があります。ウイルスなどの悪さに対して、私たちの身体は免疫細胞が働きシグナルを全身に送りします。

ざっくり言うと、免疫細胞が出すシグナルの影響で体の節々が痛くなったり、発熱などが起こります。私たちは、発熱や咳などに対して、日常生活を妨げる原因となる嫌なイメージしかありませんが、実はより強力な免疫細胞の助けを借りるための、シグナルであったり、免疫細胞の戦いを有利に進めるための、手段であったりします。

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