「風邪に対する特効薬」が発明されない納得理由 症状は抑えられてもウイルス退治はできない

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(写真:Graphs/PIXTA)
「熱が出たから風邪薬か解熱剤を飲もう」「便秘で苦しいときには下剤を飲まないと」など、体調が悪くなると手っ取り早く薬に頼る人が少なくありません。ただ、薬は症状を緩和する効果がある一方で、副作用による悪影響を体に与えてしまうものです。そんな薬の飲み方や副作用にいたるまでをわかりやすく解説した薬剤師の鈴木素邦さんの著書『その一錠があなたの寿命を縮める 薬の裏側』より一部抜粋・再構成してお届けします。

世の中に「風邪を退治できる薬」は存在しない

風邪をひくと、医療機関に行こうとされる方が多いのですが、実は、風邪を退治できる薬は存在しません。まず簡単に、「風邪」について説明しましょう。風邪の原因の80〜90%は、ウイルスの感染によって引き起こされます。一般的に風邪の症状を引き起こすウイルスの種類は200種類を超えます。これだけ種類が多いウイルスのある種類に効く、薬を開発するのは、ほぼ不可能です。

薬を開発するためのターゲットのウイルスを見極めるだけでも、膨大な時間がかかりますし、せっかく薬を開発しても、そのウイルスがもはや存在しない、なんてこともあります。

新型コロナウイルスのパンデミックで、多くの新薬が開発されましたが、その多くは実際に市販されずに開発が断念されたものが数多くあります。その理由は、ウイルスの変異の速さと種類の多さです。それに薬の開発が対応できないのです。

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