パナ部品子会社の品質不正「社長も隠蔽」の衝撃 検査データ捏造する「スペシャルモード」が存在

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極めつきは、パナインダの社長である坂本真治氏自らが関与した不正の存在だ。

1985年頃から2021年まで島根県の松江工場で製造されていた電子部品(フィルムキャパシタ)について、坂本社長は2022年1月に認証規格を充足しない製品が出荷されていた事実を知らされていた。にもかかわらず、顧客や認証機関に対して報告していなかった。

しかも坂本社長は、2022年に報告を受ける以前からこの製品の問題について知っていた可能性が高い。パナインダ社内では2009年2月にこの製品に関する企画会議が開催されており、その場でもこの製品についての問題が議題に上がっていた。

坂本社長はフィルムキャパシタビジネスユニット長(当時)という事業責任者の立場でこの会議に参加していた。

坂本社長は外部委員会の調査に対し「技術的な見地からは実際の仕様様態に照らして安全性に問題が生じることはない」と回答。報告しなかったのは「あえて認証機関や顧客に報告して市場に混乱を招くという選択肢をとる必要はないと考えた」からだと説明している。

報告書によると、品質不正93件のうち62件が「意図的」だった(編集部撮影)

本社に不正は伝わらなかった

外部調査委員会は今回の不正について「品質不正の存在が上位層を含めた広い範囲の従業員の間で共有され、長年にわたって継続されてきた」ことが他社の事案と比較した際の最大の特徴だと指摘している。

実際、不正事案の中には開発部門や品質部門など現場の管理職だけではなく、ビジネスユニット長や事業部長など、経営層でありながら本社に不正を報告せず、品質不正の是正や調査を指示しなかったケースがあった。

こうした点も踏まえ調査委員会は「経営者自身の品質保証に対する認識の甘さが今回の品質不正の遠因、背景になっていた」と結論づけている。その上で「より効果的な品質コンプライアンス体制の整備、運用に向けた不断の努力を期待したい」と報告書を結んでいる。

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