世界的音楽家・辻井伸行「思い出の大作」への情熱 名門レーベル「ドイツ・グラモフォン」と専属契約

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マルタ・アルゲリッチやウラディーミル・アシュケナージをとくに尊敬している(撮影:今井康一)

――息抜きには何をしていますか?

いまは忙しいので趣味の釣りにはあまり行けてないですけど、初めての土地に行ったら散歩をしてみたり、美味しいものを食べたり。食べることは好きなので。まとまった時間があるときはやはり釣りや陶芸、山登りに行ったりもしています。

20代の頃は勢いで弾いてしまうタイプだった

――憧れ、目標とする音楽家はいますか。

尊敬しているピアニストはたくさんいるけれど、アルゲリッチさんやウラディーミル・アシュケナージさん(編集部注:ピアニスト・指揮者。2020年に引退を表明)はとくに尊敬しています。

指揮者としてのアシュケナージさんとは何度も共演させていただいた経験がありますが、彼はツアーで指揮者として出演しているにもかかわらず、本番前後でも毎日ピアノの練習を欠かさないのです。

トップクラスのピアニストでもこうやって努力して練習していることを目の当たりにして、自分がさらに上を目指すきっかけを彼からいただきました。引退されたのは残念です。

――辻井さん自身は、自分のピアノの個性をどう捉えていますか?

自分ではあまり意識したことはないのですが、昔と今は演奏も変わってきていると思います。20代の頃は勢いで弾いてしまうタイプでした。それはそれでエネルギッシュで良かったのですが、「若さで弾いてるな」という部分もありました。今は少し音色の幅、種類も増えてきて、表現にも深みが出てきたのではないかなと思っています。

自分自身で音が変わったきっかけはコロナでした。コロナ禍でコンサートがなくなって、ゆっくり音楽と向き合うことができた。つらい思いもしましたが、多くの制限がある中で何ができるかを考えました。

新たにレパートリーを増やし、いろんな表現ができるように練習し、演奏自体も変わっていけるように、今までできなかったことにじっくり取り組めました。そこから自分の演奏が変わってきたのではないかなと思います。

(後編:辻井伸行「歴史に残るような音楽家になりたい」 に続く)

森 創一郎 東洋経済 記者

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もり そういちろう / Soichiro Mori

1972年東京生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科修了。出版社、雑誌社、フリー記者を経て2006年から北海道放送記者。2020年7月から東洋経済記者。

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