今の日本には「専門医」より「かかりつけ医」が必要 受診先を1箇所にまとめる利点は意外と大きい
かかりつけ医とは、
2 必要な時は専門の医師・医療機関を紹介してくれる
3 身近で頼りになる医師
というところを呼ぶそうです。
あらためて問いますが、皆さんの勤務する病院やクリニックは、この3点を満たしていますか? 研修先の医療機関は、この条件に当てはまっていますか? さらに、そこはあなたの家族が病気になったときに自信を持って紹介できる医療機関であり、かかりつけ医になりえますか?
現状から目をそらさずに考えてみてください。すべての条件に当てはまる医師は極めて少ないはずです。
「それは仕方がないよ。医師は自分の専門分野をしっかり診るのが仕事だから」と言いたくなるかもしれません。
しかし、開業するのがこのような医師ばかりだったら、患者さんはかかりつけ医が見つけられず、困ってしまいます。現実に多くの患者さんが、病気ごとにいくつものクリニックに通院しながら、「私の本当のかかりつけ医は誰だろう?」といぶかしく思っているケースは多いのです。
そういう患者さんは複数のクリニックにかかっているぶん、トータルで受ける検査の数も多くなるので、医療費も多く支払っています。結果的に医療費の問題を加速させています。
「どんな症状でも、まず診察」
複数のクリニックで受診している人が、「病名がわからないから、どこに行けばいいかわからない」ような体調不良が起きたときに、「ここかな?」と思って、いつも受診しているクリニックに行ったところ、「うちでは診られない」と断られてしまう……。
このようなことは日常茶飯事です。
医師がみんな断ってしまったら、最終的に誰が診るのでしょうか。
「どんな症状でも、まず診察」する真のかかりつけ医が必要です。
患者さんの健康を守るのが医師の仕事です。そして患者さんにとっては、まずは近くのクリニックで受診するのが理想でしょう。そこから診察・治療がスタートするのです。
にもかかわらず「かかりつけ医がいない」「かかりつけ医が誰かわからない」「自分(患者さん)はかかりつけ医だと思っていたのに、医師のほうはそう思っていなかった」という事態が蔓延しています。
医学生、研修医の方々、これから開業しようと思っている医師の皆さんは、この実情をよく考えてほしいと思います。「なんでも診る」「いつでも診る」医師こそが、厚生労働省のいう「かかりつけ医」ではないでしょうか。
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