トヨタ「カローラ」が50年も売れ続ける理由 ここへ来て販売台数が急増

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ところが現行日本仕様では、日本のユーザーに合わせたモデルの開発が行われた。Aピラーの見切りの良さなど視認性の向上や、つかみやすさを考慮した長いプルドアハンドル、そして位置も含め操作性が向上した空調操作などを採用するなど、日本のユーザーニーズを最優先した実用性の追求が行われている。

実は筆者は歴代カローラを30年乗り継ぐ生粋のカローラユーザーだ。国内専売ともなれば、コスト面での制約も大きいはず。ダッシュボードにソフトパッドを採用していないなど、絶対的なコストダウンは否めないが、初めて現行前期モデルを見たときに、限られたなかでカローラとしてのオリジナリティを追求し続けた開発スタッフのオーラが強く伝わってきて、筆者は即座に先代モデルから現行前期モデルへの代替えを決意した。

原点回帰で歴代モデルの良さを見直す

現行カローラの関連資料に「原点回帰」という言葉があった。先代モデルに比べ、最小回転半径を小さくするなど、歴代モデルの良さを見直したのである。歴代カローラの変遷を開発スタッフで共有して、それを参考にしながら、最新トレンドや現状のメインユーザーのニーズをくみ上げて開発しているのを現行モデルから十分感じることができた。欧米メーカーではこのあたりの意識の共有や、技術伝承というものがしっかりできている反面、日本車メーカーは苦手としている。

しかも前期モデルではLEDランプの採用など、もう少し新機軸的なものが欲しいなあと思うとともに、コンソールボックスのフタは少々安っぽいなあとも思っていたら、マイナーチェンジでしっかり変えてきた。「ユーザーからの聞き取りをしっかりしている」と感じた筆者は、トヨタセーフティセンスCを採用したことも手伝い、短期間でのマイナーチェンジ後のモデルへの代替えを決意した。

カローラシリーズは何もここへきて販売が急に好調になったのではなく、継続的に安定した高い販売台数を維持してきていた。常に新規ユーザーを呼び寄せる「仕掛け」を考え、採り入れるとともに、歴代モデルのテイストをしっかりと入れ込むことで、既納ユーザーの代替え促進も行う。

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カローラシリーズのモデル別販売推移

カローラはもちろんレンタカーや法人営業車などへのフリート販売も目立つ。ただ、月に2000台も売れればヒット作と言われるなかで、人気が低迷するセダンボディを採用するアクシオだけで月平均3400台(2015年1月~8月)も販売する底力は、さまざまなものが複合的に合わさって形成されているのである。

小林 敦志 フリー編集記者

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こばやし あつし / Atsushi Kobayashi

某メーカー系ディーラーのセールスマンを経て、新車購入情報誌の編集部に入る。その後同誌の編集長を経て、現在はフリー編集者。

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