トヨタ「カローラ」が50年も売れ続ける理由 ここへ来て販売台数が急増
ロングセラーモデルのマイナス面としては、代々の血統を各モデルに継がせることに重きを置くあまり、ユーザー層が固着化すること。販売台数が伸び悩んでしまい、最悪は販売終了を迎えてしまう。
かつてカローラシリーズも8代目(1995~2000年)の時にキャラクターの固着化が目立ち、販売台数に関しては「販売のトヨタ」の意地にかけて奮闘したものの、時代背景の変化(ミニバンブームなど)もあり国内市場での販売終了が噂された。だが、9代目(2000~2006年)で「ニューセンチュリーバリュー」というコンセプトを掲げ、プラットフォーム(車台)とともにエンジンラインナップを刷新するなど大胆なモデルチェンジを実施し、見事にヒットモデルとなった。
「継続性」という強み
現行カローラの競合環境はどうか。現状で同クラスの5ナンバーサイズのセダンはアクシオのほかには日産自動車「ラティオ」、ホンダ「グレイス」の2台がある。ラティオはタイ製の逆輸入車で3気筒1200ccエンジンという、かなり特異なキャラクターで、比較検討車種にはなりにくい。
ハイブリッドもラインナップし、宿敵になるのではないかとされたグレイスは、最近ガソリン車も追加。ただし直近8月の販売台数は1568台と、カローラ・アクシオに1000台以上差をつけられている。グレイスが性能面で決定的に劣ることはない。新興国向けセダンなので、新興国で好まれるために後席スペースはたっぷりしており、アクシオにはない後席専用空調吹き出し口などもある。
何が足りないのかといえば、「継続性」とそれによって得られる既存ユーザーの乗り換えだ。グレイス以前の最後のホンダの5ナンバーセダンはフィット・アリアであったが、2009年に販売が終了し、グレイス登場までに6年ほど「開き」ができてしまった。車名がコロコロ変わるだけでなく、カテゴリー自体の中断期があれば、販売サイドも既納ユーザーの引きとめはなかなかできない。仮にモデルの継続性がなくても、「グレイス」ではなく「シビック」と名乗って発売すれば、状況はかなり変わっていただろう。
その点カローラはいつの時代にもラインナップが続いているので、そのままカローラに乗り継ぐユーザーも多く、セールスマンも何の不安もなく販促アプローチすることができる。セールスマンに「カローラはなぜ売れているのか?」と聞くと、「それはカローラ店で売っているから」という禅問答のような答えが返ってきた。
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