トヨタ「カローラ」が50年も売れ続ける理由

ここへ来て販売台数が急増

わかりやすくいえば、来年で生誕50年を迎えるカローラを扱うカローラ店は、膨大な管理ユーザー(歴代カローラを乗っている人)を抱えている。絶えずこの管理ユーザーに乗り換えを促進し、その中から受注を獲得することで販売台数のベースを作る。それにフィールダーやハイブリッド系などの新規ユーザーを上積みすることで、常に安定した高い販売台数を維持している。

多く抱える管理ユーザーに代替え促進すればいいといってもそんなに生易しいものではない。「クルマの白物家電化」が進み、世の中のクルマへの興味が薄れるなかでは、走行距離が10万㎞を超えるとか、決定的な不具合が起きないかぎり、代替えの検討を始めないユーザーが結構目立つとのことだ。

つまり「クルマを欲しがる人に売るのではなく、買う気にさせる」ために、各顧客の購買動向を研究し、適切なタイミングで営業マンが適切な車種で代替え促進を仕掛け、「買う気」にさせなければ、なかなか思うように販売台数の基盤を作ることはできない。このあたりの営業マンが持つノウハウについては、もちろん個人差はあるものの、「販売のトヨタ」らしく、全般的にトヨタ系ディーラーのセールスマンの力量は、他メーカー系ディーラーのセールスマンに比べ、頭ひとつもふたつも抜きん出ている印象が強い。

ハイブリット仕様に関心が薄いケースが多い

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安定した売れ行きを続けるカローラ

カローラの過去5年間の販売台数推移を見てもらうと、2014年1~3月の消費税の8%引き上げ前の駆け込み需要や、それに伴う同年4月と5月の低迷など、市場環境の特別な変化がなければ、ほぼ毎年同じように安定した販売を繰り返しているモデルでもある。まさに「継続は力なり」とはこのことだ。余談だが、なんでも代々カローラを乗り継ぐユーザーの多くは、ハイブリッド仕様には関心が薄いケースが多いという。

ただフィールダーと競合するホンダ「シャトル」について、今年8月の販売実績をみると、6台という僅差でフィールダーが敗れている。「車名にカローラがあるかないかはやはり大きい」とセールスマンは強い口調で語ってくれた。

日本市場向けの現行カローラは、海外市場向けモデルとは完全に独立した、ほぼ国内専売モデルとなっている。日本市場と海外市場では、カローラの平均ユーザー年齢は日本市場が著しく高いのは前述したとおり。先代までは、細部について国内外や海外仕向け地などで異なったのだが(とくに先代は結構違っていた)、基本部分は共通だったので、全体的に中途半端なイメージも強かった。

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