東洋経済オンラインとは
ライフ #獣医病理医からみた「動物の話」

「クリパの翌日に」死んだ愛猫の腸内にあった異物 イヌや鳥も…年末年始にペットの死が多い理由

9分で読める
  • 中村 進一 獣医師、獣医病理学専門家
  • 大谷 智通 サイエンスライター、書籍編集者
2/5 PAGES
3/5 PAGES
年末に急死した2羽のセキセイインコ

ペットのセキセイインコが2羽、大みそかの夜に突然死したケースです。

飼い主さんは、「なぜ急に死んでしまったのか知りたい」と、2羽の遺体を僕のところに持ってこられました。大みそかですが、やはり病理解剖は先送りできません。

お腹を開いて臓器を見ましたが、胃や腸には異常が見られません。

亡くなった当日の状況を詳しく聞くと、年末の大掃除や料理で家の中はごちゃごちゃとしていたとのこと。こういう場合、まず誤飲事故を疑いますが、胃や腸に異物が見つからなかったことから、何かを誤って飲み込んだわけではなさそうです。

後日、2羽の臓器を顕微鏡で詳しく調べたところ、肺にひどい損傷があるのがわかりました。ほぼ同時に死亡したとのことなので、感染症、もしくは呼吸に影響を及ぼす何らかの中毒を起こしたことが死因とも考えられました。

そこで、さらに飼い主さんに記憶を掘り下げてもらうと、「そういえば、おせち料理を作っていて鍋を焦がしてしまった」とおっしゃいます。このとき、使用していたのは「テフロン加工された鍋」だったと判明しました。これです。

鳥にとっては猛毒で致命的

テフロン加工の調理器具は、加熱しすぎると、コーティングに使われているフッ素樹脂から有毒ガスが発生することがあります。適正に使用していたら問題になることはありませんが、実はイヌでも死亡例が少数報告されており、特に鳥にとっては猛毒で致命的です。

鳥はエネルギーを消費して、活発に飛翔したり酸素が薄い上空を飛んだりするために、極めて効率の良い呼吸器官をもっています。その反面、有毒なガスにも弱いので、こういった中毒が起こりやすいのです。

このケースでは、鍋から発生したガスが肺を損傷させ、呼吸不全を引き起こしたことが死因だと考えられました。

テフロン加工の調理器具を使用する際は、空炊きしないよう気をつけること、鳥から十分に離れたところで使うこと、そして、換気を徹底することが重要です。

次ページが続きます

4/5 PAGES
5/5 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象