そんなプロントが、リニューアルしたのが2021年です。背景の一つには、コロナ禍があるといいます。以前の宴会といえば2次会、3次会が当たり前でしたが、それがコロナ禍で一変し、はしごする人が減りました。
合わせて、プロントのバー業態は万人受けする使いやすさ、間口の広さが人気でしたが、昨今は目的を持って、店を選ぶ人が増加。かつての強みが、時代を経てネックになってしまったのです。その他、創業から常連として利用してきた層の年齢が上がってきたことなども受け、もっと若い利用者も増やしたいと考え、リニューアルに至ったといいます。
そこで「わざわざ行きたくなる」ような尖った業態としてキッサカバを考案。これまでのバーからイメージを刷新し、ハイボールやチューハイといったドリンクをそろえるとともに、目を引くムーディな照明など、いわゆる「ネオ酒場」を意識した空間としました。
リブランディングから3年が経過した今、189店舗を展開するプロントのうち、キッサカバ業態を行っているのは140店舗。当初は40代以上の利用者が6~7割を占めていたところ、30代以下のお客様が5~6割になるなど、狙い通りの効果となっているそうです。
年齢層が高い方には懐かしい、若者には斬新で新しい
プロントコーポレーションの鈴木健介さん(マーケティング本部 マネージャー)によると、キッサカバのメニューを考案するに当たって意識したのが、これまでのバータイムでメインだった「洋」だけでなく、居酒屋の定番おつまみのほか、ピザ、ナポリタンなど、喫茶店らしいメニューを導入することだったとか。設備としてはフライヤーを導入し、揚げ物メニューも扱えるようにしました。
そのうち、タコさんウインナーは酒場の定番メニューであり「年齢層が高い方には懐かしい、若い人には斬新で新しい」という、キッサカバのコンセプトを体現するような特徴から販売することに。今でこそメニューに「500匹」と載っていますが、当初は10匹と20匹のみの用意だったそうです。転機になったのは2022年です。より話題性とインパクトのあるメニューとして、1000匹を注文できるようにしました。
その重量は、実に12キロほど。「さすがにそんな数、注文する人はいたの?」と思いきや、どうやら少数派ながら注文が入る日もあったとか。とはいえさすがに1000匹は多すぎるとなり、現在の500匹にダウンサイジングしたといいます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら