クリスマスの新定番「1人シュトレン」浸透のなぜ 日本で独自進化し続けるシュトレンの現在地
回答した人たちが挙げたシュトレンを1人で食べる理由は、「賞味期限が長い」「自分の好みなので独り占めしたい」「人にあげて好みでなかったら嫌だから」。リベイク運営事務局の中島百音氏は、「幼い子どもがクリスマスケーキが好きだから」といった声もあるとし、パートナーとシェアしない理由も含めて「スパイスやドライフルーツが多く使われているので、好き嫌いが分かれるからではないでしょうか」と分析する。
ドイツより多様化が進む日本版シュトレン
中島氏が挙げたもう1つの理由が、日本独自に進化したシュトレン自体の多様性だ。リベイクに出品されるアレンジされたシュトレンは、チョコや栗といったフレーバーのものを出す店が最も多く、次に多いのが、地元の食材を使うシュトレンである。
例えば「広島県尾道市の『かぎしっぽ』さんは、『おのみち潮風生姜』、尾道・向島産のドライイチジクなど、地元食材を押し出す『熟成しまなみシュトーレン』という商品を出しています。他にも信州りんごを使った長野の店や、地元産の小麦粉を使った山口の店などがあります」と中島氏は説明する。
バターを使わないヴィーガン対応商品やグルテンフリーで米粉を使ったシュトレンなどを出す店も少なくない。2種類以上用意している店は多く、中には6種類も販売する店がある。
「本場ドイツには、シュトレンの決まりごとがあるので種類が限られているのですが、日本は決まりがない。日本のパン屋さんはアレンジ力がすごくあるので、そこで特徴を出して販売しやすいのではないでしょうか」(中島氏)
バリエーションが多ければ、買う側にとっても選ぶ楽しみが増える。そのためか、リベイクの利用者で「2本買っている人は少なくないですし、多い人は5本6本と買っています」と中島氏。
店側にとって、手間とコストがかかるシュトレンは、実はアレンジすることで差別化し利益を取りやすい商品でもある。「日持ちするシュトレンで地元の特色を出せば、全国で勝負できる、とシュトレンの通販に活路を見出すパン屋さんもあります」と中島氏は言う。
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