自由を優先し正月も「個食」、家族の食卓の変化 『ぼっちな食卓 限界家族と「個」の風景』書評

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『ぼっちな食卓 限界家族と「個」の風景』岩村暢子 著
ぼっちな食卓 限界家族と「個」の風景(岩村暢子 著/中央公論新社/1870円/256ページ)
[著者プロフィル]岩村暢子(いわむら・のぶこ)/1953年生まれ。調査会社、総研、大手広告会社を経て、現在は大正大学客員教授、女子栄養大学客員教授などを務める。食と現代家族の調査・研究を続け、著書に『変わる家族 変わる食卓』『「親の顔が見てみたい!」調査』などがある。

現代を映し出す「食」の風景

毎日、どんな食事をとっているのか。1週間にわたって「主婦」に日記と写真で記録してもらい、さらにアンケートや面接調査を行う。写真は編集を避けるため、未現像の「写ルンです」限定という念の入れよう。そんな綿密な調査を、著者は240もの世帯に対して25年にわたり続けてきた。さらに驚異的なことに、すでに調査した家庭に10年後、20年後にも調査をして、経年変化を追おうとする。

だが、10年を経て同じ家庭に連絡することは容易ではなかったという。転居だけが理由ではない。固定電話がつながらなくなったからだ。調査を受けてもらえても、「家族に食べたものを聞くのはもう無理」などと条件を付けられることもしばしば。本書は、仮に同居していても、「個」の自由を優先しバラバラになる、現代日本の家族の実情を痛いほど映し出す。

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