額の多い施策を挙げると、防災・減災・国土強靭化対策の公共事業費に1兆4063億円、「AI・半導体産業基盤強化フレーム」に基づく支援として1兆3054億円(後に詳述)、燃料油価格激変緩和措置(原油価格高騰に対する補助金等)に1兆0324億円といったところである。
補正予算で、今年度も目立つのが、やはり公共事業費の増額である。
2024年度補正予算に関する報道をみても、「この予算の最大の目玉が防災・減災、国土強靱化である」という印象はほとんどない。
なぜこれほどの公共事業費を計上することになったのか。
それは、菅義偉内閣の時期である2020年12月11日に閣議決定された「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」(以下、5か年加速化対策)で、2021年度から2025年度までの5カ年で、公共事業費を国費で7兆円台半ばまで出すことを決めてしまったからである。
常態化した「補正積み増し」と使い残し
しかし、公共事業関係費は、補正予算で追加されても、年度内に使い切れずに翌年度に繰り越すことが常態化している。それは、東洋経済オンラインの拙稿「20年度は4.7兆円、巨額の公共事業費を使い残す訳」で詳述したように、コロナ前からの有り様ではあった。
「5か年加速化対策」が始まって以降でも、公共事業関係費は、当初予算で6兆円ほど計上されている。前年度から4兆円前後の繰り越しがあって、これだけでも年度内に10兆円も使える状態になっているにもかかわらず、補正予算で2兆円もの積み増しが行われる。
予算規模が12兆円に達するにもかかわらず、結局は4兆円を翌年度に繰り越している。実態として、毎年度にこなせる公共事業費はせいぜい8兆円程度である。それが、2021年度から3年続いている。
必要性が高いなら、毎年度、当初予算で計上すればよい話であって、補正予算にて付け焼刃で年度内に消化しきれないほど積み増す必要はない。しかも、資材高騰の折、無理に予算消化して公共事業を起こそうものなら、資材や建設従事者がそこで費消され、さらに資材高騰をあおって、民間の住宅やビルなどの建設の妨げになる。
「5か年加速化対策」を閣議決定した時期にはない物価高騰、人件費上昇が起きているのだから、消化しきれないほどに補正予算を計上するやり方は根本的に改めなければならない。
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