1月22日に、内閣府は「中長期の経済財政に関する試算」(中長期試算)を公表した。この中長期試算の最も注目される点の1つは、「2025年度の国と地方の基礎的財政収支の黒字化は達成できるか」である。
2024年1月の中長期試算によると、2025年度の名目成長率を2.8%と見込む成長実現ケースでは、2025年度の国と地方の基礎的財政収支は、1.1兆円の赤字となるという。
このままでは、2025年度の基礎的財政収支は黒字化できないということになる。
ただ、これまで取り組んできた歳出の効率化努力を引き続き2025年度にも行えば、基礎的財政収支はごくわずかな黒字となり、ぎりぎり財政健全化目標は達成できることを、内閣府は合わせて示した。
インフレで名目GDP上振れの一方、歳出も増
そもそも、2025年度の国と地方の基礎的財政収支は、同じ中長期試算の前回の試算(2023年7月)では、1.3兆円の赤字だった。それと比べると、0.2兆円収支が改善している。
中長期試算には、その改善要因についても示されている。
まず、歳入面では、2023年7月試算よりも名目GDP成長率が上振れると見込まれるため、2025年度の収支が試算上0.7兆円改善するという。他方、歳出面では、2024年度予算(案)で取り組まれた歳出効率化努力により、0.7兆円の収支改善効果が2025年度にも作用すると見込んでいる。
2023年度7月試算では、2025年度の国と地方の基礎的財政収支は1.3兆円の赤字であったが、名目GDP成長率の上振れ分と2024年度予算での歳出効率化努力で合わせて1.4兆円の収支改善効果が期待できる。
となると、これだけで2025年度の国と地方の基礎的財政収支は「0.1兆円の黒字」という試算が、2024年1月試算として出てもおかしくなかった。
しかし、2025年度の財政収支に与える効果はこれだけではなかった。
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