サブウェイ「ワタミによる買収」が納得しかない訳 「体験型飲食」として実は高いポテンシャルがある

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2010年代半ばからは、その勢いが若干失速しているが、それでもアメリカの中では最大手のチェーン店の1つだ。こうした背景には、「サブウェイ=健康」という認識の浸透があるだろう。実際、ふんだんに野菜が入ったサンドウィッチはヘルシー志向にマッチしている。

一方、ワタミが主張しているように、健康的であるだけでなく、「美味しい」ということも重要だ。「美味しい」×「健康」は、飲食トレンドの中でも重要になりつつある。

例えば、ファミレスチェーンとして知られる「びっくりドンキー」は、JCSI顧客満足度調査ではランキング上位の常連でもあり、2023年には過去最高売り上げを達成したことでも知られている。

LINEリサーチによる調査で好きなファミレスの第2位に選ばれたが、そう選ぶ理由としてもっとも多くを占めたのが「美味しい」ということ。他のファミレスチェーンが「安いから」で選ばれていることとは対照的だ。

一方、びっくりドンキーは自社の実験農場を構え、より安全で安心な牛肉・豚肉の提供を行うべく研究を続けている。これには創業者である庄司昭夫が持つ「提供する食材について、事業者自身が知らなければならない」というモットーがある。

また、お米はオリジナルの省農薬米を使い、その栽培においては「殺虫剤」「殺菌剤」を使わず「除草剤も1回しか使わない」といったルールを設けている。

「おいしさ」の土台の上で、「健康」にも訴求するのが、びっくりドンキーで、「美味しさ」×「健康」で、多くの顧客満足度を獲得しているのだ。

その意味では、サブウェイもこのポジションを狙うことができるだろう。

「オーダーのめんどくささ」は「体験型飲食」という強みに変えられる

もう一つは、パンやドレッシング、トッピングを自分で選ぶことができる「選ぶ楽しさ」である。

しかし、こうしたシステムは「わかりづらいオーダーシステム」として、逆にサブウェイの日本進出を阻む問題点として指摘されがちであった。パンの種類やドレッシング、トッピングなどを細かく自分で決める必要がある上、店員さんとの会話を行わなければならない。

ここでつまずいてしまうと、列の後ろに迷惑が掛かるんじゃ……、と「和」を乱さないように配慮する「日本人の国民性」にとってハードルになるというのだ。

そもそも「日本人の国民性」なる曖昧な概念があるのかどうかさえ疑わしいが、確かに、現状では、このシステムには問題が多い。そもそもサブウェイ自体の数が少なく、このオーダーシステムが浸透していないのだから、ここでつまずく人が多いのは当然だ。これだけで「日本失敗の理由」とするのは早計である。

そして、こうした「選ぶ楽しさ」をバネに、その障壁を取り除いて躍進した企業もあることを私は伝えたい。

例えば、「丸亀製麺」はその一例だ。

同社は、香川のうどん屋でのセルフオーダーシステムを基に店舗が作られており、訪れた人はうどんの種類や「温/冷」、そしてトッピングを自分で取っていく。

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