「低アル飲料」を喜んで飲む人が知らない"真実" むしろ時代によってその基準は変化してきた

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ちなみに、2003年時点で低アル市場は1億ケースまで拡大しており、そのなかでも氷結は2002年のシェアで27.4%を占めていたそうだ。さすがに、前出した一覧で唯一生き残っているブランドだ。

そのほかにも、当時は「グビッ酎」(メルシャン)、「スーパーチューハイ」(サントリー)、「下町風味 酎ハイ」(協和発酵工業)、「ハイリキ」(旭化成・現アサヒ)、「ハイボーイ」(合同酒精)などが缶チューハイブームを牽引した。

さらに、居酒屋の定番となったカルピスサワー(カルピス・現アサヒ)も低アルを代表する存在である。1994年発売でアルコール度数は3〜5%というレンジで、今でもコンビニにはだいたい置いてある。

ちなみに、年齢確認がある現在ではあり得ないが、当時は低アルの誤認が問題となっており、1993年には宝酒造を含めた10社が国民生活センターから注意を受けている。

「ジュースだと思ったらお酒だった」という描写が昔のマンガやアニメには多かった気がする(マンガ『クレヨンしんちゃん』にもそのようなエピソードがあった)が、これは当時の酒造メーカーは低アルをジュースくらい身近に、主婦をはじめとした女性を狙い撃ちしていたことの裏返しだろう。

つまり、もともとは本来の購買層ではなかった女性たちのために、低アルは販売されていたのだが、それから30年近く経った今では、女性だけではなく、日常的にあまり飲酒しない若者をターゲットにするようになったのだ。

ちなみに、1988年9月15日号の『DIME』(小学館)の「ビール大好き女子大生・OL10人が選ぶ ノンアルコール 低アルコール ビールはこれがベスト」という記事では、アルコール度数1%未満の今でいう微アルも低アルとして取り上げられていた。

前記事では「微アル市場ができあがってから3年が経過している」と紹介したが、実は36年も前からすでに、その市場に該当する商品自体は存在していたのである。市場はすでにあったところに、微アルという新たな枠組みを飲料メーカー側が設けたのが実態なのだ。

まだ日本各地に「適正飲酒」の理念は届いていない

このようにRTD市場のはやり廃りは目まぐるしい。そして、酒類メーカーは常に新たな消費者を求めているのだ。今後も身体を壊した者たちが代替品として、飲酒習慣がない者にも興味を持ってもらうためにも、新たな商品が出ては、お気に入りの商品はいつの間にかなくなっていく。

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