「低アル飲料」を喜んで飲む人が知らない"真実" むしろ時代によってその基準は変化してきた
そこで、微アルが頭角を現していくと同時に、低アルにも再び注目が集まっている。現在、何度目かわからない低アルブームが到来している(と言われている)のだが、過去と現在の共通点、そして異なる部分とはなんだろうか? そして、微アルと低アルが抱える課題とは?
低アルコールに明確な定義はない
低アルはノンアルコール飲料(以下、ノンアル)と微アルと違い、完全に酒だが、明確な定義は決まっていない。
そんななかで例えばキリンは、アルコール度数1〜4%未満を低アル商品と見做している。ということは、今年のヒット商品であるアサヒの「未来のレモンサワー」はアルコール度数が5%あるため、低アルには含まれない。
さて、こうした議論をするなかで抱く疑問が「そもそも、普通のアルコール度数ってどの程度なんだろう?」というものだろう。一般的に、ストロング系は8%以上が目安とされる。また、3~4%は「低アル」扱いをされる。
となると、5~6%が「普通」の度数なのだろうか? 筆者のようなアルコールに強い、元依存症患者からすれば、そんな度数は「水」のようなものだが、アルコールに弱い人にとっては十二分に強い度数にも思えるが……。
結論からいうと「時代によって変わる」のが実情だ。
例えば、「日経トレンディ」(日経BP)の2003年7月号に掲載された「果実テイストでボーダーレス化 『氷結』は独自の味を投入」という記事では「低アルコールドリンクとは〈中略〉アルコール度数が10%未満のアルコール飲料のこと」と書かれている。1%の誤記載ではない、10%なのだ。
つまり、この時代にアルコール度数9%のストゼロがあれば、こちらも低アルの部類に含まれていたということである。あくまでも「焼酎や日本酒と比べると」だ。
実際、このとき誌面で紹介されていた氷結をはじめ、「スキッシュ」(宝酒造)、「青春」(サントリー)、「旬果搾り」(アサヒ)のアルコール度数は、どれも5%前後だった。
こうなってくると、もはや「何が普通で、何が低アルなのか?」がわからなくなってくるのは筆者だけだろうか。「5%程度が普通」という考えは、本当にあなた独自の考えなのか、酒類メーカーの長きにわたるマーケティング戦略の影響がないと言えるのか……という話なのである。
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