「京都吉兆」がイタリアの学食でランチ提供の反応 世界の有名シェフ150人以上が料理した大学

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普段であれば何百ユーロもする料理を提供するシェフたちが、材料費は1人につき5ユーロまでという縛りの中で料理をしたというのも、食ビジネスがどのように持続可能性を追求していけるかを学ぶうえでの大切なポイントだったという。

「黄卵のフライ」
安い材料でも、こんなに美しい料理になるというお手本となった、カルロ・クラッコシェフの「黄卵のフライ」。鮮やかなグリーンのソースはブロッコリーのピュレ、種を抜きオーブンで6時間乾燥させたオリーブの実を飾って(写真:Marcello Marengo -Archivio UNISG)

「京都吉兆」が特製ランチを提供

コロナ禍とウクライナ戦争などの影響でストップしてしまった、有名シェフによる「アカデミックテーブル」だが、2023年にようやく再開を果たした。その後、2024年度の先陣を切ったのが、我らが日本「京都吉兆」の徳岡邦夫総料理長とそのスタッフたちだった。

徳岡邦夫総料理長とスタッフの面々
イタリアという国に統一を果たしたサボイア王家の王宮群の1つとして、世界遺産にもなっている建物が大学の学舎となっている。その前で記念写真を撮る徳岡邦夫総料理長(左から2番目)とスタッフの面々(撮影:HIROYA KIZAWA)

本物の日本の味を体験してほしいという熱意を胸に現地入りした吉兆チームは、時間のない中で、地元ピエモンテ州の食材をどう日本料理に仕上げていくかという課題に頭を悩ませた。

試行錯誤の末に完成したのは「キノコ御飯、ピエモンテ牛照焼丼、焼野菜、ピエモンテ牛ヅケ添え」。赤身と脂肪部分がキッパリと分かれていながら柔らかく味わい深いのが特徴のピエモンテ牛は、サシの入った和牛に慣れた日本の料理人にとって未体験ゾーンの食材。

だが徳岡氏は「脂身の少ない上質なピエモンテ牛は、健康志向がより重視される現代で今後注目していくべき食材の1つのはず」と判断。調理法を工夫し、和の味に仕立て上げた。

吉兆の料理
吉兆の料理「キノコ御飯、ピエモンテ牛照焼丼、焼野菜、ピエモンテ牛ヅケ添え」。ポルチーニ茸など5種類の季節のキノコを炊き込んだご飯の上に、50日間低温熟成をかけたピエモンテ牛のもも肉の照り焼き、イタリアの焼き野菜をのせて。山椒をふったマッシュポテトや、漬けに仕立てたピエモンテ牛の生肉も。奥左は「鶏汐出汁のスープ」奥右は本みりんだけの甘味で作った牛乳のジェラート。値段はセットで25ユーロ(約4000円)。普段のランチは8ユーロ(約1280円)程度なので破格の高さではあるものの、学生たちは行列を作って食べにやってきた(撮影:HIROYA KIZAWA)
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