会社の「倒産リスク」を"見える化"する4つの方法 安全性は、会社の体つきと血液の流れをみる!

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流動比率は100%を超えて高いほどよく、一般的には150%以上あれば安全性が高いといわれます。1年以内に返す借金に備えて、すぐに現金化できる資産(現預金や売掛金など)を1.5倍以上もっていれば安心、というわけです。なお日本企業の流動比率は、平均で130~140%程度で推移しています。

④中長期の安全性がわかる「固定比率」と「固定長期適合率」

次に確認したいのが、自己資本(純資産)に対する固定資産の割合です。これを「固定比率」といい、中長期的な資金繰りの安全性がわかります。

固定資産、純資産
(画像:『100分でわかる! 決算書「分析」超入門 2025』)
固定比率
(画像:『100分でわかる! 決算書「分析」超入門 2025』)

土地や建物、工場設備など、長期間使用する固定資産は、返済義務のない自己資本で運用する割合が高いほど安全ですよね。そのため固定比率は、低いほどよいとされます。

100分でわかる!決算書「分析」超入門 2025
『100分でわかる!決算書「分析」超入門 2025』(朝日新聞出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

この数値が100%を超える場合、固定資産の一部を負債によって運用していることになります。ただし、100%を超えたからといって即危険、というわけではありません。なぜなら日本の多くの企業は、銀行から融資を受けて設備投資を行っており、実際に日本の全産業の平均値は150%程度あるからです。

ただ固定比率が高いときは「すぐに返済が必要な借金(流動負債)で固定資産を購入していないか」チェックが必要です。

それを確かめるのが「固定長期適合率」で、これは純資産と固定負債(すぐに返す必要のないお金)の合計で固定資産の代金をまかなえているかを表します。

固定資産、固定負債、純資産
(画像:『100分でわかる! 決算書「分析」超入門 2025』)
固定長期適合率
(画像:『100分でわかる! 決算書「分析」超入門 2025』)

固定長期適合率が100%を超えた場合は、固定資産の一部を流動負債でまかなっているということ。身近な例でいえば、返済期限の短い消費者金融に借りたお金を、住宅資金の一部にあてているような状態です。

《『決算書「分析」超入門2025』では、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書を使った安全性分析についても詳しく分析しています》

佐伯 良隆 グロービス経営大学院教授(ファイナンス)

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さえき・よしたか / Yoshitaka Saeki

早稲田大学政治経済学部卒。ハーバードビジネススクール修了(MBA)。日本開発銀行(現日本政策投資銀行)にて企業向け融資業務に携わるほか、財務研修の企画および講師を務める。その後、米国投資顧問会社であるアライアンス・バーンスタインで株式投資のファンドマネジャーを務めるなど、金融の最前線で活躍。現在は、グロービス経営大学院教授(ファイナンス)。また、企業の財務アドバイザーを務めている。さらに、自身の英語スキルと経験を生かし、吉祥寺英語塾を主宰。主に中高生を対象とした実践的な英語教育に取り組んでいる。

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