日本の「受け身外交」では世界と渡り合えない 東アジアの新秩序を築くにはどうすべきか

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──どういう国であるべきなのか、基本認識も大事とも。

日本には制約がある。戦争に負け、核兵器を持たず、専守防衛を旨とする国である。安全保障では米国に依存し経済を拡大していく選択をして、成功した。経済が拡大し国民生活がこれほど豊かになったのは正しい選択をしたからだ。だが米国のスタンスが変わり、大きな隣国も出てきた。能動的に役割を果たしていかないと、日本の安全は担保できない。

今までの憲法に基づく平和主義を捨てて、「普通の国」になるという選択がないわけではない。ただ、核兵器を持つような選択はしてはならないし、米国にただ依存していればいいということでもない。

日本としての安全保障上の役割を増やしていかないとならないが、米国と同じような役割を果たすことはできない。日本は非軍事的な役割を担うのだろう。米国とパートナーシップを結びつつも、違う役割で日本はアジアの国としてより能動的に戦略を実行する。抽象論の「普通の国」や「一国平和主義」ではなく、何が現実的なのか考えるべきなのだ。

受け身から能動外交に切り替えを

──「能動的外交」がキーワードですか。

日本はこういうことをしたい、やらなければいけない、と自ら目的設定をして打って出ることをなかなかやらなかった。ある意味、できなかった。戦後の外交は受け身だった。アジェンダは外で作られていた。ところが大きな変化の中で、東アジアで新しい秩序を作らなければならなくなった。しかも日本自身がビジョンを作り能動的に打って出なければ、誰もやってくれない。

今やこの地域の諸国はほとんどすべてが中国と経済的に深い依存関係にある。日本も共存していかなければならないが、中国が覇権を握る地域にしてはならない。なかなか難しい問題だが、より緻密な戦略で能動的に動いていかなければいけない。

──「ICBM戦略」で、と。

外交は国民の幸せを増やすという結果を出さないといけない。国の外交戦略は結果を出す手立てだ。私が北朝鮮や米国と向き合っていたときに何を考えていたか。

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