日本の「受け身外交」では世界と渡り合えない 東アジアの新秩序を築くにはどうすべきか

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東アジアで新たな秩序を作るために、日本の外交はどう変わるべきか(写真:Shin@k/PIXTA)
東アジアはじめ地政学リスクが増している。今こそ必要なのは「能動的戦略的な外交」という。『日本外交の挑戦』の筆者、田中均氏にこれからの外交の在り方について聞いた。

──外交の観点から、安倍晋三首相の70年談話をどう評価されますか。

今や従来ほど日本は守られていない。外交の選択肢も数多い。安倍総理が70年談話で何を言うかによっても企業の活動が影響を受ける時代に入っている。

今まで総理が言ってきたことからすれば、近隣国の強い反発を買うようなものが出てきてもおかしくなかった。結果的には、そうならなかった。「村山談話」をはじめ、これまでの歴代総理の認識は揺らがないと明確に言った点を諸外国も評価している。これが大きな外交問題になることはない。

2050年の世界を考えるべき

──現役の外交官でなくなって10年経ちました。

この10年、変化に加速がついてきた。日本の力は相対的に低下し国益を担保するためには、日本は外交で打って出なければいけなくなっている。

私は2050年の世界を考えなければならないと言っている。日本の人口は今の1億2500万から3000万人減る。この趨勢の中で、世界で力のバランスが変わり、ナショナリズムや原理主義をはじめ各種の「イズム」(主義)が国境を越えて勃興してきた。そこにはどういうリスクがあるのか。日本は単に国防力の強化だけで、東アジアの秩序を保てるわけではない。この際、日本はどういう立ち位置と戦略で外交を進めていくか。

──外交を強く、と。

安全保障の力を強くすることは大事だが、それ自体が目的とはならない。目的はこの地域での紛争をなくし、秩序を平和裏に維持することだ。その目的に向け安全保障を強くするとともに、綿密な戦略の外交がなければいけない。

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