ソ連「ホットドッグ屋」を軍事施設と勘違いの顛末 情報を集めただけでは、とんちんかんな結論に

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ソ連軍はなぜこんな勘違いをしたのでしょうか。ロシア国防省で勤務していた人の話によると、彼らの生活パターンは全然違うのです。食事の時間は厳密に決まっていて、時間になったら自分たちの部屋に鍵をかけてスタローヴァヤ(食堂)に行き、大急ぎでボルシチか何かをかきこんでまた戻ってくるという話でした。

現在ではロシアの政府機関職員もネットで注文したデリバリーフードを食べていて、流出した顧客リストから連邦保安庁の組織構成がバレてしまったという事件もありましたが、ソ連時代にはもちろんそんなものはありません。

だから、ソ連軍人たちからすると、昼休みになったらみんなプラプラ出てきて、それぞれ好きなものを買ってきて食べるというアメリカ人の習慣は全く想像外だったわけですね。

相手の行動様式がわからないと、とんちんかんな結論に

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情報処理装置の重要性とは、つまりこういうことです。

何百億円もする軍事衛星を、さらにまたそれを何百億円もするロケットで打ち上げて、ソ連で最も優秀な分析官たちが分析しても、相手がどういう行動様式をとっているのかがわからないと、とてつもなくとんちんかんな結論が出てきてしまうのです。

逆にアメリカの分析官だって、ロシアのスタローヴァヤ文化がわかっていないと見当外れな「分析」をしてしまうでしょう。

小泉 悠 東京大学先端科学技術研究センター 准教授

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こいずみ ゆう / Yu Koizumi

1982年千葉県生まれ。早稲田大学社会科学部、同大学院政治学研究科修了。民間企業勤務、外務省専門分析員、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所(IMEMORAN)客員研究員、公益財団法人未来工学研究所特別研究員を経て、東京大学先端科学技術研究センター(国際安全保障構想分野)准教授。専門はロシアの軍事・安全保障。

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