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間違った見方の中にも重要な情報が潜んでいる 佐藤優の情報術、91年ソ連クーデター事件簿㉖

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ホワイトハウス(当時のロシア最高会議ビル)内部の様子を知りたい。筆者と面識がある高官に電話をかけるがつながらない。ソ連のテレビの定時ニュースを見るが、新しい情報はまったくない。日本大使館政務班で流している米CNNも解説がほとんどで、ホワイトハウス内部の情報は流れてこない。

ロシア正教会神父との電話より

1991年8月19日午後10時すぎに、ポローシン・ロシア最高会議信仰の自由・宗教問題委員長(ロシア正教会神父)と電話がつながったので公電にまとめた。

ソ連非常事態宣言(ロシアの反応)

第5286号 秘 大至急

19日22:07、佐藤がポローシン・ロシア最高会議信仰の自由・宗教問題委員長対し、ロシア最高会議の状況につき電話照会したところ次の通り。

ロシア大統領府・最高会議・政府の建物内には青年を中心に約2千人がロシア政府を守るために参集している。(当方より、参集者は武装しているのかと質したところ、)機関銃や銃を持参している者はいないが、至る所で火炎瓶が準備されており、連邦軍が建物に突入すれば惨事となるのは明らかである。(当方より、エリツィン大統領は建物内にとどまっているのかと質したところ、)「エ」をはじめ最高会議委員長のほとんどが建物内に残留している。緊張感はあるものの秩序は保たれている。(了)

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