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真実を知る相手との信頼関係こそ情報収集のカギ 「ゴルバチョフ生存」という超重要情報を得た理由

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東京の外務省幹部はもとより首相、官房長官、官房副長官、外相は、公電の秘密指定よりも「誰が取ってきた話か」ということを重視するので、筆者の送る公電はファクスで送ってもよく読まれていた。

1991年8月20日の日本大使館発信の公電より

1991年8月20日に筆者がモスクワの日本大使館から発信した公電についての解説を続ける。

往電第5333号に関し、(注*関連する公電がある場合、冒頭にそれを記す。往電とは、在ソ連日本国大使館が送った公電という意味。本省からの公電に答える場合は、「貴電欧ソ(欧亜局ロシア課の略称)第○○○○号に関し、」「貴電析一(国際情報局分析第一課の略称)第△△△△号に関し」というように記す)

20日14:30(註*モスクワ時間なので日本時間では19:30)、佐藤がロシア共産党中央委員会を往訪し、イリイン・ロシア党第二書記(連邦人民代議員、ロシア党政治局員、連邦党中央委員)と意見交換しところ次の通り。(当館注:「イ」は党内保守派の中心人物であり、国家非常事態委員会と密接に連絡をとり活動を行なっている。)先方は右意見交換はオフレコであり、名前を引用されては困る旨述べていたところ、本件情報の取扱いには配慮願いたい。

イリイン氏は、筆者に口止めはしなかった。外交官に話せばそれが秘密公電となって本国に報告されないはずはないということくらいわかる。しかし、このようなただし書きを記しておかないと、東京でこの公電の内容を、情報源を含めて記者に話す幹部がいるのであえてこういう注意書きをした。

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