有料会員限定

車1台の選択でも仕事に影響を与えることがある 外交官として車をTPOで乗り換えることが大事

✎ 1〜 ✎ 424 ✎ 425 ✎ 426 ✎ 最新
拡大
縮小

白タクとして使われている車はポンコツの「ジグリ」1型(VAZ-2101)だった。

当時、ソ連市民が購入できる自動車は「ザポロージェツ」「モスクヴィッチ」「ジグリ」(以上、小型車で5人乗り)、「ヴォルガ」(中型車で5人乗り)の4種類に限られていた。いずれもソ連車だが、ジグリの人気が圧倒的に高かった。故障が少なく、燃費がよかったからだ。申し込んでから、10年待たされることも珍しくなかった。

とくにジグリ1型は人気があった。なぜなら、この車はイタリア車「フィアット124」の完全なコピーだったからだ。このシリーズは7型までが製造されたが、1型が最も評判がよかった。2型以降は改良がなされソ連独自の仕様となったが、それ以前のイタリア車の完全なコピー車のほうが性能はいいとソ連市民が考えたためだ。1970年に製造が開始され、88年に中止されるまでにこの車は486万6900台造られた。

ちなみに筆者は、モスクワでは最初、日産自動車の「パルサー」に乗っていた。この車はとても優秀だったが、オートマチック車だったので、4年強乗った93年にトランスミッションから油が漏れるようになった。日本製のオートマチック車はモスクワの悪路に耐え切れなかったのだ。モスクワでの修理は不可能だった。ヘルシンキの日産の整備工場に送って修理すると、往復の輸送費を含め200万円以上かかるという。

次ページ話を91年8月20日午後に
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内