推し活をやりすぎる人が「無能」に陥るリスク 人々が同調して美しいのは、演奏とダンスだけ
日本人が孤独を覚える原因「疎外」とは
偶像崇拝の度が増すと、人は危険な状態に向かうことになる。たとえば、自分を無能だと実感し、ついには自分という存在の死にいたる。
なぜ、偶像崇拝すると、自分が無能や死に近づいていくのか。それは、偶像崇拝によって自己を疎外(そがい)することになるからだ。
この「疎外」という言い方はふだんの日本語としてはあまりなじんではいないだろう。疎外とは要するにのけものにすることだ。疎外はいつでもどこでも起こりえる。まったくどこからも疎外されていない人などいないかもしれない。
自分の家族からのけものにされるのは疎外である。会社で閑職(かんしょく)に追いやられるのも疎外である。その原因は自分の言動かもしれないし、家族や会社の変化かもしれない。疎外はしばしば、自分が属していると思っていた場所からなされる。
現代の日本人は孤独を覚えている人が多いと言われているようだが、その原因の中心には疎外があるだろう。特に日本は同調社会だとされる。その同調がうまくできないと、やがて疎外されることになる。同調社会の成員は、同調していることでのみ連帯でき、自分の不安から顔をそむけることができるからだ。
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