「草ぼうぼうの太陽光パネル」各地に出現の危うさ 太陽光発電設備の周辺の下草に引火した事例も
このメガソーラーの近隣地域の有力者によると、発電事業者、保守点検責任者がとりわけずさんである、ということではなさそうだ。「年1回専門業者を入れて草刈りはずっと続けてきていると思う。プラスアルファで、地元の人が協力して、地域の人を雇って雑草を刈っているとも聞きました。ただ気候が違ってきているようで、これまで通りの頻度の草刈りでは間に合わないんじゃないですかね」と言うのだ。
この有力者は、こうも語った。「われわれの茶飲み話で、『どんどん草木が伸びてあんな太陽光パネルを覆っちゃってくれた方がいいよな』みたいな声が出ます。このメガソーラーが計画された当時、地域からは『田んぼに変な水が入ってこないようにしてくれ』という注文を付けましたが、景観や管理の問題を含め、悪影響についてはわからなかったのです」。
草ぼうぼうの太陽光設備がなぜ問題なのか
2024年9月、経済産業省の審議会「産業構造審議会電力安全小委員会」が開かれ、事務局の経産省電力安全課がメガソーラー火災について説明した。
その中で取り上げたのが、2024年4月15日、仙台市の「西仙台ゴルフ場メガソーラー発電所」で発生し、草地約4万㎡を焼いて約22時間後に鎮火した火災。発電所敷地外への被害はなく、けが人はいなかった。電力安全課が設置者などの説明をもとに明らかにした延焼メカニズムは以下の通りだ。
2. パワコン内部の温度が上がり、圧力が高まってパワコンの前面カバーが落下。
3. 燃えた部品が飛散し、周囲の下草などに引火。
4. 当日は最大瞬間風速10.1メートル/秒の風が吹いており、数日間の晴天続きで下草が乾燥していたことから、発電所内に延焼した。
火災事故の詳細がわかったことを踏まえ、電力安全課は設備周辺の下草についてより具体的に対策を示す必要があると説明した。現行の電気事業法の技術基準では、「人体に危害を及ぼし、物件に損傷を与える恐れのある施設等の防止」がうたわれているものの、直接的で有効な措置が示されているわけではないからという。
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