「陰謀論」にハマる人が後を絶たない根本原因 フェイクニュースとの違いは何なのか

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Q 陰謀論に陥りやすいのはどういう人?

政治や社会のあり方に強い関心を持っている人ほど陥りやすい傾向がある。寝ても覚めてもそればかり考えているような人は黄信号だ。とはいえ政治や社会に関心を持つことはとても重要。日常の対面でのコミュニケーションを大切にしながら、「ほどほどに」という加減が大事だ。

Q 陰謀論を信じ込むとどんな支障がある? 離脱させる手だては?

陰謀論は、単にその人の評価を低下させるだけでなく、家族や友人など身近な人々との関係まで断ち切るケースが多々ある。早期に離脱させてあげたいところだが、一度その沼にハマると、その思考から離脱することは難しい。陰謀論は「思考」ではなく「信念」となるからだ。思考は変えられるが、信念はなかなか変えられない。

対極にあるのは常識や規範

Q 陰謀論に陥らないためにできることは?

日々の仕事が順調で、家族や友人と良好な関係を構築できている人ほど陰謀論には陥りにくいという研究結果がある。

オスロ大学のビェルヴィアチョネクらの研究によれば、ノルウェー人約2000人を対象に約30年間にわたって追跡調査を行った結果、友人が少なく孤立し、中・長期的に孤独感を覚えている人ほど陰謀論を信じる傾向にあることが明らかになっている。

陰謀論の対極にあるのは、常識や規範だ。私もかつては「ネット右翼」で、マスメディアの情報をすべて疑い、ネットの情報ばかり信じている時期があった。しかし、親身な友人たちから「何を信じるかは自由だが、社会常識は持ってくれ」と諭され、数年かかってようやく自分のおかしさに気づけた。

今では大学で多くの学生に講義をしなければならないし、仕事上、意見の違う人ともうまくやっていかなければならない。日常を円滑に過ごすためには、どこかで現実と折り合いをつけ、周囲とすり合わせながらやっていくしかない。「常識」とは違う意見で社会を変えられるのは、傑出した才能を持つ人だけであることを知るべきだ。

(聞き手:野中大樹、井艸恵美)

野中 大樹 東洋経済 記者

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のなか だいき / Daiki Nonaka

熊本県生まれ。週刊誌記者を経て2018年に東洋経済新報社入社。週刊東洋経済編集部。

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井艸 恵美 東洋経済 記者

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いぐさ えみ / Emi Igusa

群馬県生まれ。上智大学大学院文学研究科修了。実用ムック編集などを経て、2018年に東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部を経て2020年から調査報道部記者。

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