108歳女性「世界最高齢の理容師」に認定された日 裸眼で90年以上使い続けているハサミを操る
手元に、90年以上使い続けているハサミがあります。戦火も一緒にくぐり抜けてきた私の宝物です。眼鏡バサミと呼ばれるハサミで、今のハサミのように小指をかけるための飛び出した部分が付いていないんです。大昔の鋼ですから重たくて、手が疲れますけれど、このハサミじゃないと切れないときがあります。
右手にハサミ、左手にコームを持ったまま死にたい
研いで研いで、刃がずいぶん擦り減って長さがとても短くなっているんですよ。最初の半分ぐらいしかないでしょう。もう、わたしの分身のような気さえしています。「ああ、このハサミと一緒にやってきたんだなあ」としみじみ思います。ですからね、死ぬときにはこのハサミを握ったまま死ねたら本望です。
「右手にハサミ、左手にコームを持ったまま死にたい」なんて、わたしがそう言いますと、家族も友だちもお客さんもみんな笑います。「冗談でしょう?」なんて言われますけど、わたし、本気でそう思っているんです。
けれど、「ちょっとカッコ良すぎるかな?」という気もして、最近はあまり言わないようにしています。
でも、本当にそうなったら最高ですね。
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