脳科学で実証、潜在能力を引き出す"魔法の4文字" 仲間を肯定し、信頼関係を生むポジティブ言葉

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軽井沢合宿で初めて会ったときに、私は吉田選手に「『そうだね』と言ってからチームプレーしたらいいよ」という話をしました。そうしたら、ロコ・ソラーレはあっという間に強くなりました。

「そうだね」という言葉がメンバーの合い言葉になって、チームが一丸となり、平昌オリンピックの女子カーリングでは銅メダルを取りました。皆さんよくご存じのように、「そうだね」の北海道訛り「そだねー」は、2018年の新語・流行語大賞にも選ばれました。

このように「そうだね」は、チームの潜在能力を高める魔法の言葉なのです。これを日常会話に活かすなら、「面白そうだね」「楽しそうだね」とポジティブな言葉を使いながら話すとよいでしょう。

子どもに接するときも「そうだね」「そうなんだ」と言ってあげると、自分が認められたように感じて、うれしくなります。「そうだね」とか「なるほど」という言葉は、子どもを育てるときの合言葉にもなります。

もう1つ注目していただきたい脳の特徴があります。それは「同期発火」です。

テレビや映画で、人が悲しんだり喜んだりしている様子を見て、自分も同じような感情になったことがありませんか? このように、自分の脳が相手の発する情報に反応してシンクロするときなどに起こる現象を「同期発火」といいます。

これを初めて教えたアスリートは、競泳の北島康介選手でした。

どんなに強い相手でも「自分だったら勝てる」と思えば、同期発火が起きて肉薄できる可能性が高まる。逆に「勝てるかどうかわからない」と考えて闘っていたら、確実に負ける。彼にはそう教えました。

北島選手には、後半加速のリズムを教え、不調を脱していたのであまり心配していませんでした。

パリ五輪で競泳チームに生じた問題

2024年のパリオリンピックでは、競泳チームはあまり力を発揮できませんでした。コーチ制度が進化し、個々の選手別に異なるコーチをつけました。

一見、科学的な方法と思われがちですが、仲間になりたいという人間が求める本能に反するため、監督も口出しできなくなり、日本人が弱いフィジカルに原因を求めがちになります。

体はそれほど大きくなくても、アメリカのレデッキー選手はオリンピックの競泳女子自由形で、これまでに金メダルを9個もとっています。

彼女の泳ぎは、脳が疲れない4ビートのキックで、ザリガニのような姿勢で、胸の前のベストポジションで水をとらえ、軽くローリングしながら、前に突き進む、非常に美しい泳ぎ方です。

競泳では、体の前胸部のどこで水をとらえるかが、センチメートル単位で区別するかが、非常に大切なのです。仲間になりたい本能に従って、全員でチームの泳ぎを検証し、理にかなった美しい泳ぎ方を発見することが望ましいのです。

ときには、3秒ごとにプールに飛び込みチームメイトの背中に乗る、馬乗り大会もチームづくりや記録伸ばしに役立ちます。

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