脳科学で実証、潜在能力を引き出す"魔法の4文字" 仲間を肯定し、信頼関係を生むポジティブ言葉
これとは逆に、否定的な言葉は相手の脳に入っていきません。そして、相手の気持ちを遮断してしまいます。人間は自己保存の本能で自分を守りたいので、意見が違う人とは絶対に仲良しにはなれません。
意識的にポジティブな言葉を発する
だから、否定語は使わず、意識的にポジティブな言葉を発することが大事なのです。その意味で、「そうだね」は、お互いの気持ちを結びつける魔法の言葉といってもいいでしょう。
既にご説明したように、脳には「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」といった本能があります。この本能を生かす言葉が「そうだね」なのです。
つまり、仲間になりたい本能ともつながっているので、まず「そうだね」と同調してから会話を始めると、その後に何を言うかに関係なく、話す側は否定されることへの恐怖がなくなります。
また、聞く側も相手の言うことに興味を持って、肯定的に受け止めるようになります。これによって、お互いの潜在能力が本能のレベルから引き出されることになるのです。
なでしこジャパンは、ボールを持ったら仲間がいないところへ迷わず蹴る、という常識破りのパス回しを生み出して相手を翻弄しました。仲間のいないところにボールを蹴るというのは、恐怖を伴うことでしょう。
仮に相手にボールを取られたら、一気にピンチに陥るかもしれません。普通であれば、無難に仲間がいるところにボールを蹴りたいと思います。
しかし、誰もいないところに蹴れば、最初に駆けつけた人がボールをキープできます。それが味方の選手であれば、チャンスは拡大します。そして、人のいないところに蹴るというのはチームの仲間だけしか知らないので、チームメイトを信頼して無人のスペースにボールを蹴り出せば、日本の選手が真っ先に駆けつけることができる可能性が高いのです。
佐々木監督が考え出した世界一のパス回しと称賛されましたが、あれは「そうだね」で生まれた信頼関係がベースにあります。まさにチーム一丸になって潜在能力を発揮した結果が優勝をもたらしたのだと思います。
女子バレーボール日本代表の中田久美監督に「先生、どうやったらチームが強くなりますか?」と聞かれたときも、「『そうだね』という言葉を合言葉にしなさい」とアドバイスしました。それ以来、日本女子バレーチームはチームが一つになって強くなりました。
この「そうだね」という言葉は、のちに女子カーリングチームのロコ・ソラーレの選手が競技中に使って流行語になりました。
ロコ・ソラーレを指導するきっかけになったのは、吉田知那美選手からもらった手紙です。吉田選手が失敗を重ねて、みんなからだめ出しされたとき、私に手紙を送ってきたのです。
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