空飛ぶ「クロネコヤマト」最速で届ける荷物の中身 導入費用は130億円、スピード勝負の費用対効果

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近年のヤマトは大企業の供給網の一部を担うなど、法人向けの新規開拓を強化してきた。貨物機では宅急便で付き合いがなかった顧客の獲得も進んでいる。「当初、九州から新千歳へ飛ばすことは考えていなかったが『飛ばすなら乗せたい』と顧客から相談され、冬に生鮮品が採れない北海道へ九州から野菜を送るなど、後々見えてきた需要もあった」(貨物航空輸送オペレーション設計部の鈴木達也部長)。

足元では冷凍・冷蔵のクール輸送の体制を整えている。たとえば、山口・下関のふぐ、鹿児島のぶりなど、名物の海産物の取り扱いも今後は増えていきそうだ。

増便も視野に

もちろん、新サービスには相応の費用がかかっている。初年度となる今2025年3月期における貨物機関連費用は約130億円。現在は3機体制で、増便も視野に入れている。

羽田空港の午前3時台は、北九州と新千歳からやってきた機体がそろう時間帯だ(記者撮影)

つねに大量の宅急便の荷物を運ぶため、貨物機を空の状態で飛ばすことはないが、高い輸送コストに見合う量を獲得する必要がある。阿部珠樹常務執行役員は「時間と距離を縮める武器を使い、顧客のビジネスを活性化できるようにしていく」と意気込む。

ヤマトの業績は厳しく、今期は4期連続の下方修正、4期連続の営業減益見通しと苦しい状況だ。貨物機のビジネスも「新たな需要獲得に時間を要している」と想定を下回っている状態だ。新サービスとして早期に定着させられるかが、問われている。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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