空飛ぶ「クロネコヤマト」最速で届ける荷物の中身 導入費用は130億円、スピード勝負の費用対効果

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以前からJALやANAに委託して荷物を運ぶことはあったが、旅客便を前提とした路線だ。自社便ならば荷物の需要に合わせて、飛ばしたい場所へ飛ばすことができる。新たなビジネスを広げるために自社便の導入は欠かせないと、役員を含めて社内のコンセンサスは固まっていった。

そしてJALグループのスプリング・ジャパンが実際の運航を担う形で提携が決まり、今年4月の就航にこぎ着けたというわけだ。

貨物置き場に運ばれてから、コンテナの中身が取り出される(記者撮影)

ヤマトにとって空は難しい領域でもあった。当然、安全面の確保は第一となる。荷物の積み込み一つをとってもトラックとは異なる。飛行機は重量のバランスが重要だ。コンテナ1個の重さまで計算する必要があり、どのように荷物を積み、重量を調整するかという点は課題だった。

現役機長でもあるスプリング・ジャパンのオペレーション本部長・上谷宏氏は「貨物機はその日の重量のバランスを考えて飛んでいる。着陸などの際にも非常に気を遣う」と話す。

また、悪天候だと機体に燃料を多く積むケースがあり、運ぶ荷物の量を抑えなければならない。そうした場合はトラックや鉄道の代替輸送を手配する必要が生じる。空港で荷物を扱うセンターの作業や人員配置なども含め、貨物機のビジネスはまだまだ発展途上だという。

宅急便以外の顧客も開拓

現在、ヤマトは法人営業部の中で、貨物機の営業を担当するチームを作り、営業を進めている。貨物機が就航している地域に担当者を置き、現在は約50人。北海道・関東・九州の主管(宅配の拠点)に一人ずつ担当がいるイメージだ。セールスドライバーや法人支店の営業担当者が開拓してきた案件に対し、貨物機の担当者が提案などを行い、稼働までの時間を短縮している。

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