空飛ぶ「クロネコヤマト」最速で届ける荷物の中身 導入費用は130億円、スピード勝負の費用対効果
メリットはやはり圧倒的なスピード、そして宅急便のネットワークとつなげられる点だ。新千歳―羽田間をダイヤ上は約2時間で結ぶため、産地で朝に採れた生鮮品を夜に航空機で運び、翌日昼から夕方にかけて飲食店などに届けることも可能だ。
ちなみに通常の宅急便で荷物を送る場合、北海道―東京間、東京―九州間はそれぞれ2日後の到着予定となっている。
首都圏から地方へ飛ぶ荷物もスピードが武器だ。ECで追加料金を払えば早く届けるサービスなどで、個人が購入するアパレルが多い。「購入後すぐにほしい」という要望に応えられるようになった。
また、航空輸送は短時間で振動も少ないため、荷物の負担を減らせるメリットもある。今年8~9月には福岡県産(JA筑前あさくら、JAふくおか嘉穂)のイチジク「とよみつひめ」を空輸し、首都圏のスイーツショップ「キルフェボン」の5店舗でタルトに使うトライアルを行ったが、通常よりも商品の傷みが少ない状態で届けられたという。
当初は社長も懐疑的だった
物流サービスにとってスピードは付加価値になるものの、なぜヤマトは自社便での運航にこだわったのか。
検討を始めたのは2019年。物流業界では、残業時間の上限が課せられる「物流2024年問題」が見えていた時期だった。
トラックの輸送コストは年々上昇し、毎年のように自然災害も発生している。リスクへの備えとして、トラックと鉄道、海上に加えて航空輸送もメニューに加える必要性を検討することとなった。当初は長尾裕社長も含め、社内からは「本当に飛ばすのか?」という声もあったという。
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