急成長するアジアIT市場、同じ巨大新興国でもこんなに違う中国とインド

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もちろん、所得の伸びとIT製品の価格下落によって、社会背景抜きに予想どおりにパソコンなどIT製品の需要が拡大する地域もある。たとえばベトナムの商都・ホーチミンはそうだ(首都ハノイではパソコン市場の伸びはそれほどでなく、ベトナム全土での現象とは言いがたい)。
 
 ただホーチミンを含むベトナム全土で乗り物の基本はバイクであり、自動車や公共交通の発達した国では移動中に電話をかけたりスマートフォンをいじれるが、バイクを運転しながらでは無理だ。ホーチミンを現地調査すると、スマートフォンの人気はパソコンに比べて低いように感じたし、無線LANのあるカフェにカップルがバイクを横付けし、ノートパソコンを広げて動画を楽しむ光景もよく見た。やはりスマートフォンよりもノートパソコンが人気であるのには訳があるわけだ。このようにベトナムにおいても、習慣やその地域の背景を知らないと、どのような市場が伸びるかどうかの正しい予想は難しいのである。



■ベトナムのホーチミンで人気のパソコンショップ


山谷 剛史 やまや・たけし
中国内陸部在住のIT専門ライター、中国のIT事情を中心に取材・執筆。著書に『新しい中国人 ネットで団結する若者たち』(ソフトバンク新書)

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