急成長するアジアIT市場、同じ巨大新興国でもこんなに違う中国とインド
2012年は昨年以上に途上国市場が注目され、中国だけでなく、それ以外の国への注目も、高まるだろう。筆者自身も、中国をベースに周辺のアジアの国々もウォッチしている手前、途上国・新興国のIT市場について、多くの人が誤解しやすい点について紹介していきたい。
30歳代半ば以下が牽引する中国
まず、中国のIT市場を語るうえでは、「文化大革命」(1966~76年)がひとつの重要なキーワードとなる。これを経験していない30代中盤より下の世代では、パソコン利用率やインターネット利用率が極めて高く、30代後半より上の世代では、ITやデジタルに消極的だ。
中国のインターネットユーザー数は5億人を超え、人口比だけでいえば4割弱だが、若者だけに絞れば利用率は非常に高い。中国では、twitterやYouTube、Facebookといった世界的なサービスは利用できないものの、中国人向けに作られたそれらのそっくりサービスがあり、中国語でのネットサービスは充実している。
■中国のブランドモノの携帯電話を販売する店では主に若者が集まる
パソコンに関しては、POS代わりとして貧しい地域でも個人商店に置かれているのを見るようになった。パソコンはPOSとしても使われているが、店員が、映画などの動画を見たり、ゲームをしたりして暇を潰すのに使われている。
また、去年あたりからスマートフォンをよく見るようになり、タブレットユーザーもしばしば見掛けるようになってきた。ノートパソコンを含めたモバイル機器も、出先で映画を見たりゲームをしたりとエンタメ用途で使われることが多い。
過去にパソコンは「遊んだり暇潰しができるたくさんのコンテンツが利用可能だ」ということから売れた。こうした“実用”に加えて、メンツを満たすことができるIT製品はなおのこと人気だ。